408 パーソナル・スペース

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経営コラム SOLID AS FAITH 第408号
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 ご愛読ありがとうございます。第408話をお届けします。

 1月も下旬になり、梅が咲き始めた話も耳にするようになりました。寒い季
節が苦手な私は、昨年末から体調を崩しがちでしたが、何とか既存クライアン
トさんの案件だけは死守しつつ、2月の訪れを待っています。
 
 恒例の大判寒中見舞は、徐々に配達やら発送やらの作業を終えつつあり、残
す所あと50通弱となりました。1月末までに作業を完了したいと思っています。
ありがたいことに、寒中見舞を見て、その内容に関心を戴くなどして、ご連絡
を下さる方が何人もいらっしゃり、アポ設定を急いでおります。
 
 単なる人手不足や採用難の裏には、組織運用の根深い問題や、ローカルな経
営環境の急激な悪化などが潜んでいます。また、売上の現象の裏にも、顧客ニ
ーズの変質や市場の縮小など、様々な背景要因が見つかります。単純な営業改
善やツール改善に留まらず、本質的な事業再編が避けられないケースもありま
す。そんな中で、何をどうすべきかを経営者の方々と考える仕事を進めていま
す。寒中見舞に書いたことが、眼前に広がることが多くなっています。
 
 PR欄にも紹介しましたが、当コラムや劇場で観た映画の感想をまとめた『脱
兎見!東京キネマ』などを格納する弊社ブログ『MSI-TALES』が先日大幅更改
されました。サーバのクラッシュでデータを半年分以上紛失するようなことの
起きないように対策を講じると共に、CMSのバージョンも更新しデザインも変
わりました。今後は、長く準備を進めていた弊社サイトの更新にも着手します。
 
 今回の第408話『パーソナル・スペース』は、店舗型の商売の地元を知る必
要性をテーマにしてみました。前半がアルバイト・スタッフの採用のケースで、
後半が集客の場面です。「地元密着」などの運営コンセプトに掲げる店舗は多
いですが、その地元にどのような人々が“棲息”しているかをきちんと理解し
ている店主や管理者は、そう簡単にお目にかかりません。そんな話を描いてみ
ました。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想
などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その408:パーソナル・スペース

「うわ。これずっと住宅街かよ。しかも一戸建てばっかり」。
 間近のアスファルトからさえ陽炎が見える7月の暑い日。私は名古屋駅から
徒歩20分ほどの住宅街を逍遥していた。スタッフの採用を行なう店舗の相談。
チラシ作りのアドバイスから始め、色々聞くうちに、やはり現地を見なくては
ダメかと思い立ち、アポ前1時間に名古屋駅に降り立った。店長から聞いた店
舗の住所は、その界隈の通りの名前が入っている。きっと古い商店街だろうと
言う私の想像と、現実は全く違った。
 
 私のブラウザは古いスレイプニル。ストリートビューはまともに動作しない。
新しいブラウザの起動は面倒で、どうせ職場も見物するのだからと、事前にチ
ェックせずに到着した街。店長が雇いたいのは一人暮らしの20代後半の女性。
広がる低層階の建物をギリギリ見渡せる雑居ビルの階段踊り場。窓から見ても
ワンルームのマンションは見当たらない。
 
 今時アルバイト・スタッフを遠くから通勤させるのはほぼ無理。いないもの
は採用できない。押せば倒れそうな古い食堂に入って、「あの。今度この辺に
居ぬきで店を出すかもしれないんですが、アルバイト雇うとしたら、どの辺か
ら来る子が多いんですかねぇ」と訝し気に余所者を見つめる女将にでっち上げ
の質問を投げてみた。
 
 或る日、クライアントのクライアントであるパチンコ店に来て店長から話を
聞いていると、最近のパチンコ店の経営のトレンドは地域密着だと言う。「コ
ミュニティ戦略」などとたいそうな名前で呼ぶ会社も多いらしい。この店舗も
その戦略を採用していて、敢えて狭い商圏を意識して、近隣住民をリピーター
化する方法を模索していると店長は説明する。

 パチンコ店の店長の多くは、所轄の警察に届出をしに行ったり、事務所に篭
って本部への報告をまとめたりと、渉外やら事務の仕事に忙殺されがちだ。来
店客を観察しようにも、事務所から監視カメラ越しに眺めるぐらいしかできな
い。パチンコ台の稼動状況は時々刻々と表示されても、その台に座っている人
物の様子を逐一把握するのは至難の業だ。

「店長。この辺の人気の居酒屋はどこか知っていますか。この界隈にはマン喫
は何軒あるかは知っていますか。そこからどうやってくるか、車、自転車、徒
歩の別バージョンで電話で道案内できますか。じゃあ、スタッフの皆さんは、
どうですか。近隣のお客さんが他の屯場所を蹴ってまでこの店を選ぶって言う
のが、『コミュニティ戦略』ですよね。まずコミュニティ見て回んなきゃ、話
が始まらないように思いますが」と私は語ってみた。
 
 それから「あ、ちなみに角の喫茶店のメロンのカキ氷は旨いですよ」と付言
してみた。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

ソリアズのバックナンバーを格納し、
劇場鑑賞済みの映画の感想をまとめた『脱兎見!東京シネマ』を格納し、
弊社代表の留学体験記や、
弊社代表がリンクト・インで書いた各種コメントまで
まとめて蓄積しているブログ『MSI-TALES』。

その『MSI-TALES』がリスクの高いサーバから引越し、
CMSのバージョンもアップして、見栄えもすっきりし、
新しいブラウザにも対応するようになりました。

タイトル一覧が表示されなかったり、
突如文字化けしたり、
唐突にクラッシュしてデータが失われたりするなど、
それなりに頻繁に問題が発生していましたが、
今後は、そのようなことが起き難くなるものと思います。

さらに、弊社サイトもコンテンツも一部補充しつつ、
大幅更改の計画が着々と進んでいます。
まずは、刷新された『MSI-TALES』をお楽しみください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『その「つぶやき」は犯罪です…』 神田芳明 他 共著
■『ニュースの“なぜ?”は世界史に学べ…』 茂木誠 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第409話 『怪人の生い立ち』 (2月10日発行) 
 ビジネスをしていると経歴や言動が怪しいとか胡散臭く感じられるとかする
人物に遇うことがあります。それらの人物は必ずしも犯罪性が高いのではなく、
受け止め手の認識の許容範囲に入っていない場合があるものと思います。そん
な事例を描いてみました。

(完)