『スーサイド・スクワッド』

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封切から約1ヶ月の月曜日の晩、夜9時50分からの回を新宿ピカデリーで観て来ました。一応人気作だと思います。

封切から4週以上経って、まだ1日3回もの上映をしています。シアターに入ってみて分かりましたが、観客も終電間際の月曜の晩で40人以上はいたように思います。観客層は比較的若目に偏ってはいるものの、まあまあばらけており、男女も半々ぐらいになっています。いわゆる典型的アニメオタク的デブの30男性二人連れが映画のトリビアを議論していたり、最近幾つもトレーラーで目に付く半グレ系映画に登場しそうなチンピラ系男子とイカレギャルみたいな、これまた典型的なカップルもいましたし、私より高齢そうな背広のおじさんの単独客もいます。この観客層の広さが動員の多い理由なのかもしれません。

しかし、それにしても、その広い観客を動員できる理由の方がよく分かりません。何とか考えて捻り出せる理由は、膨大な広告予算と言うことでしょうか。テレビ番組の中のPR的なコーナーもやたらに見ますし、グッズ類は映画館のグッズ・ショップ以外でも売っています。主役のハーレイ・クインのワルカワ・ギャル的なキャラも、他にあまり例がないので、今の日本人女性にもあまりいないパターンのキャラとして多少のニュースバリューがあると言うこともあるかもしれません。

いずれにせよ、何か面白くない映画でした。前半戦は勿論、後半戦の中にも、やたらたくさんいる「極悪の中の極悪」的な位置付けのキャラ達のエピソードが塗されていて、「ああ、なるほど」と一応の納得はさせられますが、それ以上何も起こらないのです。ストーリーも人命救助ベースの「廃墟と化したビル街を舞台にしたオリエンテーリング」を見ているような感じです。

キャラ達の方も、何か強さが際立っている人が居ません。では、自身の能力を応用したり工夫したりしながら、困難を克服したりするのかと言えば、それもあまり見当たりませんし、チームで協力した何か壮大な作戦が展開するかと言えば、そうでもありません。

さらに、がっかりさせられるのは、この「極悪の中の極悪」の人々の心情はかなりナイーブでセンチメンタルで、自分のしたことを反省している節が全開に出てきます。せめて自分のしたことの認識の上に、自分の業を背負って生き、これからも悪事をガンガン働くぞと言うような気合を見せて欲しいところです。それに対して、この極悪チームを組織した軍部の黒人オバハンは、目的の完遂のためには手段を選ばずと言った風で、自分の下で軍事システムを操作していたスタッフを、撤収の際に「セキュリティ保持」のために皆殺しにするぐらいです。どちらが悪党か言うまでもありません。これが極悪人のチームには見えない最大の理由です。

極悪人のチームが対処を迫られる、市一つを破壊し尽し乗っ取る勢いの悪党も、どこぞの遺跡で発見されて眠りから目を覚ましたメタヒューマンの強烈なオバハンですが、彼女も、例の黒人オバハンに弱みを握られ、「散々労働を強いられて、眠りに入る前の人間は従順な下僕だったのに、今や人間は敬うことも忘れ、私(と弟も居ますが)を使役する不届きな輩に成り下がっている」と言う思いを募らせた結果、黒人オバハンの頸木を離れ、反旗を翻すことになっています。こうしてみると、劇中の設定とは悪党が全く異なる存在であることが分かります。

ちなみに、蘇ったメタヒューマンオバハンは、魔女と人間が呼んだ存在で、細身の若い科学者に憑依しているので、最初の登場では腐りかけたような漆黒の顔色でしたが、フルパワーを取り戻してからは、憑依した女性科学者のみずみずしい体をそのままに、インカかマヤかエジプトかどこかのエキゾチックな神官系の格好をしています。

能力を発動して、同じDCコミックの『フラッシュ』のテレビシリーズのシーズン1のエンディングで出てきた、ワームホールを消失させたらできた竜巻状の「シンギュラリティ」のようなものを発現させて街を破壊していきます。面白いのは、どういう設定なのか、エキゾチックな神官系の格好のエロ系メタヒューマンの彼女が能力を発動する際に、妙な身のくねらせ方の踊りのようなことをするのです。この肢体の動きが、下手なポールダンスよりもよほどエロいように私には見えますが、劇中でそれを指摘した人間はいません。(変わったダンスだとハーレイ・クイン(だったと思います)が評していますが、エロさの指摘ではなかったように思います。)

劇中でエロさが際立っているように描かれているのは、例のハーレイ・クインですが、途中から雨にぬれたり泥まみれになったりで、メイクも崩れまくりで、薄汚れたホット・パンツ姿でバットや巨大トンカチを振り回す彼女にエロさを感じる人々はどんな人々なのか、私にはよく分かりません。「汚れ系」と呼ばれるフェチ系アダルト映像作品群があり、泥まみれになったり、場合によっては、糞尿にまみれて行なう各種行為の映像が、高く売れる市場があると言う話ですので、そういう作品群を好むファン層には、ハーレイ・クインの汚れ演技は、強い「ソソリ要素」があるのかもしれません。

ハーレイ・クインを演じた女優は、この作品と同じく、ウィル・スミスと共演した『フォーカス』の時の方が、好感が持てたと思います。

売りの一つである、昔のロックヒット曲の劇中への採用は成功していると思います。私もクイーンの曲など2、3曲を認知できて、「ああ、こういう場面でこの曲を使うのか」と気づく面白さはありました。ただ、トレーラーではかなり長くかけられていたクイーンの曲が、実際には本編の最後に申し訳程度にちょっとかけられるだけなのにはがっかりでした。

蘇ったメタヒューマン魔女オバハン(と言っても肉体は若いですが)の体をくねらせる奇妙な踊りの能力発動は、敢えて探しても『勇者ヨシヒコ』シリーズのムラサキの必殺技ぐらいしか見当たらない、なかなか類例を見ない面白さでしたが、全体でも10秒にも満たないであろうそのシーンためにDVDを入手したいとは思いません。