393 猫殺しの誘惑

【注意!!】
 このページのコンテンツは、2016年10月26日未明に発生したアイ・ドゥコ
ミュニケーションズ株式会社によるサーバクラッシュにより失われ、さらに
7か月分がバックアップされていない状態での復旧対応により、一旦、完全に
消失したものです。弊社にて過去のデータを浚い、概ね回復しましたが、
一部に当初ページ・コンテンツのアップ時とは異なっている可能性があります。
ご了承ください。
=================================

=================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第393号
=================================

 ご愛読ありがとうございます。第393話をお届けします。

 梅雨のシーズンになってきました。梅雨が明けると、今年は猛暑が待ってい
るとちらほら耳にします。暑い気候が好きな弊社代表は、暑いとの予報を聞く
だけでにんまりしています。そんな時候に全く頓着することなく、書き溜めて
あった原稿を順次そのままの順番で発行するだけなのが、当コラムの慣例です。
(クリスマス・イブの風景を題材にした第226話『天国の蛹』も2009年6月25日
の発行でした。)
 
 この時期に至って、漸く年明け少々過ぎに寒中見舞いを手配りした話が登場
しました。毎年弊社恒例の大判A4サイズの寒中見舞いは、比較的近隣の地域の
宛先には郵送せずに手で配っています。この手配り分は全体の4分の1程度に
なります。手配りをする理由には色々ありますが、端的にまとめると、「外を
知るため」であると思っています。
 
 寒中見舞いの印刷を手伝ってくれた方が、その理由を尋ねたので、細かく答
えてみた内容をまとめてみました。暫しの一考にお付き合いください。本文に
対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事
の目標納期は5営業日!!
=================================

その393:猫殺しの誘惑

 夜間の郵便局窓口に行くと、コートの襟を立てて待っていた友人の社長は、
手に下げた大きな紙袋を私に突き出し、「手がちぎれるかと思いましたよ」と
笑った。中身は寒中見舞い。独立創業したての彼女が、「なんか小遣い稼ぎの
仕事はないかな」と言っていたので、毎年恒例のA4版寒中見舞いのデザインと
印刷を請け負ってもらった。300枚近くの寒中見舞いの宛名を確認しながら、
もうすぐ会うことになる既存クライアントさんや、手配りで行ける相手の分を
取り分けた。手持ち分を数えると、80通を超えていた。夜間窓口脇の作業台の
椅子で、彼女は目を丸くして私を見詰めて言った。
「いや。無理でしょ。そんなに手で配るって、あり得ないでしょ。ヒマなんで
すか」。

 既存クライアントに訪問時に渡せば、寒中見舞いのコメントがほぼ必ず聞け
る。寒中見舞いが視界に入った時点から展開する相手の反応は観察の価値があ
る。残りは折り畳み自転車を広げて配達して回る。新宿を拠点に、東は飯田橋、
西は中野坂上、南は恵比寿、北は高田馬場と、真夜中でも配達できる。郵便受
けに辿り着くだけで、その会社の情報が滲み出て来る。居並ぶ飲み屋。すれ違
う人々。後方に飛んでいく景色にも発見は続く。地図で道を確認しては住所の
アタリをつける。土地勘が否応なく磨かれる。
 
 昼間に行けば、「ノーアポで来たので、お呼び立てしなくて結構です。社長
によろしくお伝えください」と社員に渡すこともある。単なる郵便の到着とは
異なる重みが生まれる。ほんの数秒の会話から社員の質も垣間見られる。時間
の大事さを分かっている人間なら、こちらの時間投資に容易に気付く。
 
「はあ?そんな話、初めて聞きましたよ。それが商売の足しになるんですか?」。
 訝る彼女を軽い食事に誘い、近くの商業ビルに行くことにした。入口脇にあ
るエレベータの前を素通りし、エスカレータに向かう。「エレベータに乗らな
いんですか」と彼女が尋ねるので、「各階の店の様子やそこにいる人が視界に
入る方がいいでしょ」とぶっきらぼうに答えると、「あ〜。ほんとに私の想定
外のことばっかりしますよね。あえて無駄なことをすることにメリットがあ
るってことなんですか」と彼女は首を振る。
 
「以前、夏川賀央って人の『なぜ、仕事ができる人は「効率」を無視するのか?
…』とかいう本を読みましたよ。記憶力はかなり怪しく、ぐうたらで、出不精
で、人嫌いな自分を自覚しているので、「できる人」の実感は全くありません
よ。ただ、せめて「できる人」の習慣の一部ぐらいは徹底してみるかとは、
思ったことがありますね。まあ、アウトプットの質はインプットの量に相関す
るもんだと言うのは本当だと思いますし」。
 エスカレータ段上の彼女を見詰めながら私は、彼女宛の寒中見舞いを突き出
した。
=================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
=================================

【MSIグループからのPR】

『経営コラム SOLID AS FAITH』 17周年記念特別号 企画決定!
2016年秋は記念特別号祭り!

毎月10日・25日の午前8時に発行されるソリアズに加えて、
毎年10月末日に発行する周年記念特別号。
今年は、17周年記念です。
テーマは、
『人工知能の普及で変わる中小零細企業経営』(仮)です。

今年はほぼ同時期に、400話発行記念特別号も、
3回に分けて発行されます。
こちらの方は、
『ソリアズ的“女性の人生論”序』(仮)です。

どちらも外部の書き手に原稿作成をお願いし、
極力弊社代表の論点や視点を排除して用意いたします。

詳細はまた後日。
是非ご期待ください。
=================================
【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『しあわせ仮説』 ジョナサン・ハイト 著
■『量子コンピュータが本当にすごい…』 竹内薫 著
=================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け17年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
※ ご注意!!
 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。発行状況のご
確認は上述の弊社ブログにて行なってください。
 また、まぐまぐからの連絡によると、一部フリーメール運営企業でサーバの
受信量規制を行なっているケースがあり、その場合は大幅にメールマガジンの
到着が遅れるとのことです。
「届かない」、「再送希望」などの連絡は、まぐまぐの窓口である
「magpost@mag2.com」に、メルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営コ
ラム SOLID AS FAITH』)、購読アドレス、再送希望の旨を記載の上、メール
にてご連絡下さい。
=================================
次号予告:
 第394話 『限定的社会網』 (6月25日発行) 
 他者からのフィードバックによってこそ、情報リテラシーが上がると言う考
え方があります。それなしに情報リテラシーや情報感度は上がるのか。敢えて
挑戦してみました。

(完)