390 体温の伝播

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経営コラム SOLID AS FAITH 第390号
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 ご愛読ありがとうございます。第390話をお届けします。

 GWが近づいて来ました。ご予定は如何なっていますか。弊社代表のGWは、ク
ライアント企業さんから請け負っているマニュアル作成作業などに明け暮れて
終わりそうな気配です。

 各種SNSの普及により、人間同士の付き合いのあり方が、妙に細かい論点ま
で議論されるようになったと感じることがあります。「メッセージをスルーさ
れた」などと人間同士で憤慨したりされたりしている次元の付き合い感覚が、
企業のコミュニケーションにも持ち込まれつつあって、顧客管理や従業員管理
の日常の細かな局面を手間のかかるものに変えています。
 
 逆に言えば、その細かな価値観を意識して扱うことできるスキルには、付加
価値が生まれると言うことでもあります。集客や採用の課題の解決の糸口は、
意外にこのようなところに転がっているように思えてなりません。中小零細組
織だからこそできる、繊細で緻密、しかし同時に大胆な組織運営は、以前以上
に付加価値を生み出しそうな気配を感じます。
 
 今号は『体温の伝播』と題して、企業の購買の現場を考えてみました。きっ
かけは、『体温の伝わる交渉…』と題した、バイヤーの心掛けをまとめた書籍
を読んだことです。プロのコスト・カッターのテクニックを纏め上げた内容に
は、あちこちに学ぶべきポイントが散在しています。けれども、著者が交渉相
手との信頼を強調する割には、中小零細企業の日常視点では、かなり無理のあ
る話も多々見つかります。
 
 中小零細企業の独自の強みを、値踏みし値踏みされなくてはならない場面を、
どのように捉え、どのように対処すべきか。そんな視点でこの本を読み返すと、
本の主張とは離れた所に、中小零細企業の生き残る道が見えるように思えまし
た。ご一緒にひと時考えていただければ幸です。本文に対するご意見・ご感想
をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!
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その390:体温の伝播

 勉強会に参加する若手営業担当者たちがビジネス書を読む習慣がないという
ので、読書感想文を書く課題を設けた。その中の一冊に『体温の伝わる交渉〜
702社のコスト削減を実現したプロの作法』がある。タイトル通り、著者は営
業担当者に対して値切りに値切ってきた人物。冒頭で、コストカットには、自
社のコストを内部でカットするユーザー・マネジメントと、取引業者を値切る
サプライヤー・マネジメントがあるとした上で、あるべき後者の考え方を説く
ことに以降の紙幅を割いている。
 
 若手営業担当者の客先の経営規模は大から小まで多種多様。経営の質も玉石
混交。そんな中で偏った交渉の経験を緩和するためにこの書籍を課題図書に含
めた。常務が関心を持って下さって、この本を中堅営業担当者や営業幹部に薦
めることにした。営業管理者からも求めた感想の中には、「こんなに、素晴ら
しい交渉をしてくれる相手ばかりだったら、本当に助かる。できれば、この本
を大量に購入して、取引先の購買担当者に配ってやりたいぐらいだ」と言う皮
肉もある。経験豊富なはずの営業担当者でさえ、日々の商談や交渉を体系的に
考えたことはなかったようだった。
 
 既に年間契約などで決まった額がある場合にも、値切りは不可能ではないと
著者は言う。コストカットが至上命題の値切りの場面で、体温が伝わる交渉と
は何なのか。バイヤー・サプライヤー間の信頼関係や長期的利益を重視する交
渉が非常に大切だと書籍は何度も繰り返す。決められた金額さえひっくり返し、
納得したはずの見積もり根拠にさえ疑義を持ち出す相手のどこに信頼関係を見
出すべきなのか。「体温が伝わる交渉」とは自分の冷血を相手に伝えてひるま
せる交渉のようにさえ思える。
 
 付加価値提供を眼目とする「殿様セールス」型営業を説く書籍を見れば、
「欲しい」と言い出さない客は相手にしないのが鉄則とある。国内の中小零細
企業だけでも百万の桁で存在する。年間15件もお取引戴ければ、簡単に超繁忙
に陥ってしまう私の受注状況を、既存クライアントが頻繁に窺がうような零細
商売。「こちらからノーは言わない」は、お仕事を戴く立場の鉄則。それで
も、請けないものは請けず、放置するものは放置せざるを得ない。

「私は植木屋の気分で商売をしています。素人の奥さんや旦那さんが、『この
木はこうすれば、もっと手間がかからず作業ができるはずだ』とか言っても、
無視するか、『それは残念ですね』と辞去するかのどちらかでしょう。交渉に
なる時点でプロの仕事じゃないような気が私はするのですが、まあ、全国区で
広く商売をしてシェアを追っかけなきゃならない皆さんは、こういう本も読ま
なきゃダメかと思って選んだんですが」。
 件の選書理由と感想を尋ねられたので、残念さを取り繕って応えてみた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第391話 『仕事の嗜み』 (5月10日発行) 
 勉強会参加者の一人から求められたサービス残業についての意見。違法行為
を支持する気はありません。一方で、定義もよく分からないブラック企業論に
はウンザリ来ます。考えたことをまとめてみました。

(完)