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経営コラム SOLID AS FAITH 第367号
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ご愛読ありがとうございます。第367話をお届けします。
今年も最初の三分の一が終わってしまいました。早いものです。GWも終わっ
て、年の中盤に向かいますが皆様は如何お過ごしでしょうか。弊社では新規に
頂戴した案件の業界研究のテーマを複数抱える一方で、店舗スタッフの作業動
態調査のあり方についての基礎リサーチを進めたり、昨年も頂戴した社員教育
用冊子のゴーストライティングを受注したりと、“仕込み作業”の急増にあた
ふたと対応しております。
今年から来年にかけての16周年記念特別号、17周年記念特別号、400話発行
記念特別号の三本の企画は、PR欄でご案内の通り、アイディア・希望記事など
を読者の皆様から募集しておりますので、是非、お気軽にお知らせ下さい。
今回の号は、『永遠の悦楽』と題して、昨今のアニメに見る“夢が叶う生活”
への懐疑について考えてみました。『夢、死ね！ 若者を殺す「自己実現」と
いう嘘』と言う書籍も売れるぐらいに、夢だのビジョンだのを抱くことや追い
求めることに対する、懐疑や倦怠が徐々に世の中に広まっているように感じら
れることがあります。
世界随一のアニメ大国において、アニメの物語や登場人物の設定には、時代
の要請や欲求が色濃く反映されていると考えるとき、夢やビジョンの意義につ
いて一考すべきタイミングが訪れているのかもしれません。本文に対するご意
見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期
は５営業日!!
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その367：永遠の悦楽
「今回の話は、考えさせられるねぇ」。
まだ雪が残る三月末の週末、小樽築港駅のコンコースを歩きながら、私は娘
に言った。『プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』を見て
来た帰途。歴代のプリキュアが総動員される毎春恒例の劇場作品のシリーズ。
私は全作品を娘と見ている。
劇中、準主役級の獏は、総勢30名余りのプリキュアの少女が眠りについた際
に、夢の独房に閉じ込めてしまう。そこで彼女達は将来の夢が叶った自分の姿
に永遠に酔い痴れ、決して脱出できない筈だった。けれども、その予想はあっ
さり裏切られる。
実家のパン屋を継いだ日向咲と言う少女は、「パンが全部きれいに焼けてる。
失敗ゼロ。毎日毎日お客が行列。嬉しいけど、絶対おかしい」と明晰夢を喝破
し、他の少女たちもそれに続く。そして「誰かに作られた夢じゃ、心の底から
楽しめないよ」、「夢はなりたい自分になることだから、自分の力で頑張らな
きゃダメ」などと、全員同時多発的にのたまう。
今までプリキュアオールスターズの価値観は、固い友情と不屈の意志だった。
そこにさらに、自助努力が加わった。周囲から「アンチ夢派」とさえ呼ばれる
私には、プリキュアの少女たちの安易に叶う夢の拒絶は、やたらに爽快だった。
価値観の修正は多分世間の風潮に応じて行なわれたものなのだろう。
似たような話があったと、帰宅後、7年に渡る連載を完結させた大ヒットマ
ンガ『そらのおとしもの』の最終巻を読み返してみた。たった一時間半余りの
劇場版映画第一作目は、興行収入が一億円を超えるヒット。舞台の一つはシナ
プスと言う名の天空世界。地球の先住種で超高度な文明を持つ有翼人が住む。
その多くは巨大な施設のカプセル内で眠り続け、「地蟲（むし）」と呼び蔑む
地上人達の生活をRPGのように夢の中で体験している。
多くの天空人が眠り続けている理由は最終話近くまで明かされない。それは、
高い文明力による何でも願いを叶える石版装置の発明が理由だった。欲しい物
はすぐに出現する。なりたい状態にもすぐになる。総ての願いがすぐに叶う以
上、総ての努力は必要なくなる。すべてのモノもサービスも価値を失う。
総ての望みが叶うから、人に協力を頼むことも、人に教えを請うことも最早
必要ない。当てにされることも、承認されることもない。我慢や忍従のタガさ
え消える。人間関係も完全に消失した。自ら生み出した地獄の中で、天空人は
数億人が自殺し、残った人々は、地上人達の思うままにならない人生に憧れる
ようになって、自ら眠りについたのだった。
現実には、夢は簡単に叶わない。しかし、独り善がりの「万能感」を持つこ
とはできる。それが地獄に至る道だと、昨今のマンガやアニメ作品は大人にま
で突きつけてくれる。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【ＭＳＩグループからのＰＲ】
大型企画三本、同時並行企画活動始動！
当コラムの「16周年記念特別号」、「17周年記念特別号」、
そして、「400話発行記念特別号」。
今年の10月から来年の後半にかけて、
次々と発行することになる三本の記念特別号を
時間をかけて作成していくために、
企画立案を開始致しました。
過去、各種の切り口から中小零細企業の経営や、
弊社の事業ドメインや事業のあり方そのものなどを取り上げ、
通常号とは異なる、お祭り号として発行されてきた、記念特別号。
企画立案段階はあと一ヶ月程度続きます。
「こんな切り口の記念特別号が読んでみたい！」とのご要望がありましたら、
メールにてこっそりご一報ください！
bizcom@msi-group.org
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【ＭＳＩグループの仕入完了報告（抜粋）】
■『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です…』 カレン・フェラン 著
■『グローバリズムという病』 平川 克美 著
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発行：「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社ＭＳＩグループ（代表 市川正人）
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次号予告：第368話 『仮称「ニーズ」』 （5月25日発行）
マーケティングの考え方の根幹に位置するニーズ。誤解に基づく解釈がまか
り通っている場面が多いように感じます。営業・販売系の案件の最初にプロジ
ェクト・メンバーと共有するニーズの定義についてまとめてみました。
（完）