336 オーダー・メイド

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経営コラム SOLID AS FAITH 第336号
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 ご愛読ありがとうございます。第336話をお届けします。

 前回の第335話『兵(つわもの)の夢』には、新年早々お会いした何人かの
方々からご感想をお聞かせいただきました。事業の成功と失敗が同じ志向の結
果生じていること、その反対の極に凡庸が位置付けられること、さらに、それ
が企業の事業のあり方のみならず、人間の生き方にも投影し得る構図であるこ
と。そのような事柄に対して、ご意見をお聞かせいただく機会があり、非常に
愉しく感じました。当コラムを深く読み込んでいただいていらっしゃる読者の
皆様に御礼申し上げます。

 かなり地味に、要点をシンプルにまとめただけのレイアウトにしてみた今年
の季節のご挨拶(寒中見舞い)も、その中で述べた、弊社事業と経営コンサル
ティング業との相違点に関して、ご質問などを戴きます。PR欄に再度、相違
点をご紹介申し上げますので、是非、ご高覧下さい。弊社事業へのご関心を賜
りまして、心より御礼申し上げます。

 今回の号は『オーダー・メイド』と題して、企業経営上発生するニーズと人
材によるその充足のあり方を考えてみました。弊社代表の独立のきっかけは、
大手企業を早期退職した当時の多くの中高年人材を、中小零細企業の現場で求
められる人材に“変えて売る”と言う新しい形の人材紹介事業でした。その際
に考えていたことなどを振り返りつつ、典型的なオーナー経営者率いる中小零
細企業で求められる人材の見つけ方や創り方などの端緒を考えてみた内容です。
お楽しみいただけましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その336:オーダー・メイド
 
 高級生地の卸売をしていて、大量仕入ならではの安さでオーダー・メイドの
背広が安く作れると言う店があり、独立してから数年間、そこで今までよりは
少しだけ高い背広を作っていた。或る夏の朝、東京に出かけようと背広掛けの
中から背広を選ぶとズボンの股の部分に大きな穴が空いていた。出かけるのに
時間がない。急ぎ他の背広を手にすると、さらに穴が空いている。それからも
う一着。合計三着が同時に穴が空いている状態になっていた。いつ空いていた
のか分からないが、長くそのようにして気づかなかった訳もない。
 
 次の休日、背広屋に三着を持参して、理由を尋ね、修繕を頼んだ。しかし、
作って二年程度なのに、理由は古くなったからであり、修繕はできる訳がない
と言われた。幸い母が婦人服仕立てを行なうので、何とか履ける程度には直し
て貰い、他の部分も傷んで寿命を全うするまで着込んだ。その後の背広はイト
ーヨーカドーのパターン・オーダーに依頼することとなって数年何事も起きな
かった。
 
「市川様。大変失礼致しました。調査の結果、モヘア素材が混紡されていると、
湿った状態での摩擦に極端に弱くなるようで、暑い日に汗をかいた体で擦れ続
けて、このようになったものと思います。股当てをつけて、更にモヘアの混紡
を使わないように致しますので、今後ともよろしくお願いします」。
 作ってたった半年で股に穴の開いた背広を売場のテーブルに広げ、イトーヨ
ーカドーの担当者は言った。私は「ありがとうございます。謎を解いていただ
いて。問題の対処方法まで分かっている御社から他に移して作ってもらうよう
なことはありえませんね。これで何をすれば良いか分かった。お礼を言うのは
こちらです」と答えた。

 帰宅してモバイル用のPCを広げて、知人のマーケティング担当者が退職し
たことを知った。IT系企業でマーコムの仕事を多々こなした女性担当者。共
通の知人の紹介で初めて会った時、彼女はIT系企業から新天地を求めて、伸
び盛りの産業廃棄物を扱う中堅企業に転職したばかりだった。大手組織やら外
資系組織に慣れた者から観ると、オーナー経営者の率いる組織は、一種独特で
しょうと話しかけると、全くその通りと、彼女は言って、話が弾んだ。

 彼女が当り前と思う仕事の進め方も価値観も、決裁権や権限の委譲のあり方
も、そして、何よりも会社のことを進める上での予算感も、すべてに調整が必
要であろうと私は彼女の大変な仕事の日常を想像していた。それらが皆異なっ
ている以上、周囲にも彼女の考えを理解し共感する者も少ないのではないかと
想像していた。しかし、新天地の主は自分に合わせたサービスを根本から要求
していて、その事実が新天地の選択の段階で互いに自覚していなかったからの
結果なのだろう。

 金を払う側と受け取る側の両方の啓蒙と相互理解を、大手出身中高年人材の
人材紹介を中小企業に対して行なっていた際に、常に心掛けていたことを思い
出す。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

今年の分の寒中見舞いを作成したものの、配布や郵送を完了致しました。

昨年は初めてお会いする方が多い中、
経営コンサルティング業とは全く異なる
弊社の事業のあり方について、
定番とも言えるようなご質問を多々お寄せいただきました。

そこで、弊社の事業が経営コンサルティング業とどのように異なるかを
入念に説明した寒中見舞いを用意致しました。
そこで説明した「弊社事業の特徴」は以下のようなものです。

#1
「特定の業界・ビジネス分野の専門を持っていません」
#2
「自事業の集客目的で
 書籍の出版やセミナー開催を行なうことは一切ありません」
#3
「研修講師を務めることがありますが、
 特定のジャンルやテーマは持っていません」
#4
「一般の経営コンサルティング業務に比較し、
 低廉な料金で長くお付き合いします」
#5
「特に多い受注作業形態は、
 社内勉強会や社内プロジェクトへの参加です
#6
「企画の実践に当たっては、
 踏み込んだ作業を行なうことが、時たまあります」

何かご関心を賜れる特徴がございましたら、
お気軽にメールにてご連絡下さい。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『読むだけでやせる ?驚異の催眠ダイエット?』 松岡圭祐 著
■『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』 山口周 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け15年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://archive.mag2.com/0000019921/index.html
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
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には、上述の弊社ブログにて発行状況をご確認の上、再び上述の弊社サイト専
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次号予告:
 第337話 『雪かき仕事』 (2月10日発行) 
 陰徳と言う言葉があります。承認欲求が日本全体で高まり、仕事もその充足
の手段になりがちです。そのような中、陰徳的な仕事の動機付けに関して考え
てみます。

(完)