『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』

 9月26日の封切からまだ1週間余りしか経っていない10月最初の日曜日に、最近気に入っている調布の映画館で観て来ました。夕方5時半からの回です。この館は、7月に初めて来て『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』を観て、時間距離とコスパなどに加え、元々住んだことのある街への多少の愛着もあって結構気に入って、その後、9月に『大長編 タローマン 万博大爆発』を観に再び訪れました。

 そして、同月『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』を観に三度(みたび)訪れると満席で観ることができずただ駅周辺を散策してから戻りました。そして今回です。勝手知ったる駅からのルートをサクサクと進み、映画館に到着しました。座席指定の画面を見ると、ネットで確認すると62席しかないシアターは結構な客入り状態でした。空いているのは前方の席と、画面上やや黄土色っぽい実際にはゴールドを意識した色なのだと思われる座席数席だけでした。

 ロビーはかなり待ち客でごった返していたものの特に私の後ろに待ち行列もなかったので、ゆるゆるとその黄土色マークの席について画面上で調べると、「ハイグレード席」なるものでした。特に新宿ピカデリーのプラチナルームやプラチナシートのような物理的に一般席とは隔絶された存在ではなく、シアター内の一般席に囲まれた比較的スクリーンが観易い領域を占めるJAL機のクラスJ席のような座席のことでした。1人1000円増しで1ドリンク(サイズ関係なしで)が無料でついてくるということでした。モノは試しなので、このハイグレード席に陣取ってみることにしました。

 この作品は調布の館では1日1回の上映になっていましたが、他館ではギリギリ1日2回ぐらいに踏み止まっている館があるような上映回数の状態で、上映館は東宝系を中心にこの無名な感じにしてはそれなりにあるものの、大分人気に陰りが出て来ている状態です。劇場数は都内だけでも22館もあり、余りマイナーと言えないぐらいの上映館数規模です。23区内だけでも13館もあります。上映1週間余りでこの程度ですから、劇場側の期待外れ状態ということができるかもしれません。一方でパンフレットは完売と言うことだったので、それほど多くないコアファンが一気に封切直後に集中して来て、それ以降は先細りと言うことだったのかもしれません。この館のグッズ売場はかなりこじんまりしていて、あまり力を入れているように見えませんから、パンフの仕入数、ないしは割当数も小さかったということも考えられます。

 実際、この館は所謂チケット収入以外の収入を追求している節が殆ど感じられません。コンセッションの注文もパネルでの注文で、かなり合理化を図っていますし、メニュー幅もかなり狭く、観客やロビーの待ち客にその購入者をあまり見かけることはありません。片や観客の混雑ぶりは相当なもので、今回も入館時のロビーはそこそこの混雑具合でしたが、帰りに抜けた際には開場したシアターに入ろうとどう見ても100人以上は居そうな長蛇の列がありました。

『沈黙の艦隊…』などの人気作が数本一気に開場というタイミングだったのですが、それにしても、バルト9でもそうそう見ることはなく、ピカデリーやテアトルなど新宿の有名館ではまず観ることがないような混雑ぶりです。調布にはたった1館しかない映画館ですから、地元商圏人口に対しての割合で考えると、限られたマーケットを独占する零細企業のような位置付けになっているのかと推量します。それは多分近隣の他の商業施設も同じ状況のようで、いつ来ても(深夜でさえ)調布駅前はかなり若い方に偏った構成の人々がうじゃうじゃいる感じに見えます。この駅周辺だけを見ると、少子化だの高齢化だのの社会問題は異国の話のように感じられるほどです。

 私がこの作品の存在に気づいたのは、偶然ネットのニュースで奇妙なファッションの吉岡里帆の画像を見かけたことです。私はコメディエンヌとしての吉岡里帆が結構好きですが、かなりイカレた感じの髪型と服装に、期待できそうな何かを感じたのでした。それで調べてみると、この作品の基となっているオリジナルテレビドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』の存在を知るに至ったのです。

 映画.comの作品紹介には以下のように書かれています。

[以下引用↓]

オダギリジョーが脚本・演出・編集を務め、2021年にNHKで放送されたドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を自らのメガホンで映画化。

狭間県警鑑識課警察犬係のハンドラー・青葉一平。一平の相棒である警察犬オリバーは、当然一平以外には犬に見えるが、なぜか一平には、酒とタバコと女好きの欲望にまみれた犬の着ぐるみ姿のおじさんに見えてしまう。ある日、隣の如月県のカリスマハンドラー・羽衣弥生が、一平とオリバーに捜査協力を求めてくる。これまで失踪者を次々と発見してきたことでスーパーボランティアとして知られるコニシさんが、行方不明になったというのだ。「コニシさんが海に消えていくのを見た」という目撃情報をもとに、一平とオリバー、羽衣はコニシさんのリヤカーが残されていた海辺のホテルへ向かうが……。

一平役の池松壮亮、オリバー役のオダギリジョー、コニシさん役の佐藤浩市らテレビ版のキャストに加え、「サバイバルファミリー」以来8年ぶりの実写映画出演となる深津絵里をはじめ、吉岡里帆、鹿賀丈史ら豪華な出演陣が顔をそろえる。

[以上引用↑]

 イカレた吉岡里帆観たさにこの劇場作品を観ることを決意したのですが、おかしな着ぐるみを着て真顔のオダギリジョーの姿まで発見し、ドラマの話が全く分からないのでは劇場作品の愉しみも半減かと考え至り、DVDでオリジナルドラマを借りることにしました。いつものゲオ・レンタルで探したところ、2シーズン合計全6話放送されているのですが、レンタルされているのは第1シーズンの3話だけでした。それを借りてみたのですが、かなり楽しめました。

 ギャグっぽいドラマには色々好きなものがありますが、例えば、『勇者ヨシヒコ』シリーズは第2シーズンでかなりマンネリ感が湧いてきて、第3シーズンに至っては佐藤二朗の執拗なボケにゲンナリ来るようになりました。このゲンナリはその後も佐藤二朗が出演する他コメディ系作品を観て感じるようになって今に至っています。ギャグ系のドラマはやはりこのように飽きが来やすいように思えます。

 最近では明確なギャグはないものの、よく言えば個性溢れるキャラ、悪く言えばクセが強いキャラが絡み合うだけのファミリードラマで『おいハンサム!!』シリーズも見ましたが、そこでも日常からの逸脱がやり過ぎ感を醸し出し始めると辟易してしまいます。順番で言うとシーズン2が一番自然に楽しめて、シーズン1がそれに続き、ドタバタが極まってしまって不自然な場面が連発する劇場版はかなり辛かったように感じます。

 バカリズムの作品群も面白いと言われていますが、『架空OL日記』も劇場でスルッと観終ったのは(エンディングが少々幻滅させられましたが、まあ)良かったのですが、ネットの動画などで見る限り、ドラマの方はできの悪いゲイの物語を観せられているような気がしてきてげんなり来ます。『ブラッシュアップライフ』もDVDで早送りで観ましたが、輪廻のペースが速すぎて同じことを何度も繰り返すのに飽きてきて、音声さえ出ないぐらいの早送りにして、見流すに至りました。辛うじて、まあまあ最後まで楽しめたのは、SFテイストバッチリの『ホットスポット』ぐらいです。

 そんな中で、この『オリバーな犬…』の第1シーズン3話はかなり楽しめました。一部キャラの異常さが際立っていることと、現実的な物語の流れだけは一応あるのですが、どの場面も何か非現実感の漂う可笑しさがあること…ぐらいが面白い理由なのかなと思いますが、どうもこの面白さを言語化できません。本当に何一つ満足に終わることができないのかと思えるぐらい、ヘンな要素が常に存在している場面で作品がずっと埋め尽くされているのです。

 さらに、幅広い背景知識がないと読み解けないような拘りネタがかなり突っ込まれています。例えば、分かり易い場面では、ヤクザの若頭を演じる松重豊が大邸宅のような組の事務所でラーメンを食べるシーンでは、彼の心の声が聞こえて来て、いきなり『孤独のグルメ』になってしまっています。

 神々廻(ししば)(という『SAKAMOTO DAYS』の登場人物も同じ苗字が一人居ますが)というフィクサーのような男を橋爪功が演じていますが、彼が床屋で髭を剃ってもらっている時に、マーティン・スコセッシ監督作品が良いという話になり、「自分のお気に入りの映画が思い出せなくて、気になってスッキリしない」と言いだします。「タクシー・ドライバー?」と言われると、「それよりもっと前」と答え、「じゃあ、『ミーン・ストリート』?」と言われて、「もっと前だな。髭剃ってさ、血がたくさん出る奴」と答えています。彼はずっとそれが気になってドラマの中で何度も思い出せないと困り果て、「死ぬまで思い出せないんじゃないかな」とまで言い出します。

 この作品は1967年の『ザ・ビッグ・シェイブ』という作品で、たった6分しかない映画であることをとうとう思い出します。その内容は朝に下着姿で洗面台に向かう若い男がシェービングクリームを顔中に塗りたくり、剃刀で髭を剃るだけです。ところが剃刀の刃は皮膚まで削ぎ落とし、大量に出血し始めます。ダラダラと血が出るの全く構わず、男は淡々と髭を剃り続けます。顔は血塗れになり、洗面台も鮮血に染まりますが、男は最後に首も横に切りつけて、髭剃りを終えるのです。

 この作品への言及がドラマの中で何度も為されますが、一見ただの会話ネタだけであるように聞こえますが、スコセッシが反戦映画として作成した、一般にはあまり知られていない問題作です。オダギリジョーは米国に留学して映画を学んでいますが、こうした映画の選択はその時の経験で培われた知見によるものではないかと思えます。

 佐藤浩市が演じるスーパーボランティア小西さんというホームレスの男は行方不明者や遺棄された遺体を次々と発見することで警察から表彰されますが、表彰式に彼が纏ってきた晴れ姿の衣装は、ド派手な金キラなもので、それを主要キャラ達がテレビ画面で観ていて、「そうだ、志茂田景樹みたいだ。そうだ。そうだ」のような話になりますが、今時、志茂田景樹をすぐに連想する人はあまりいないことと思います。

 ちなみに小西さんはパンフレットやネット記事で、先代の伝説の警察犬ルドルフが死んで憑依しているという設定(小西さんが生まれたのはルドルフが死ぬよりもはるかに前ですから輪廻ではありません。)のようですが、(シーズン2を見ていないので分かりませんが、)ドラマ中では全くそのような言及がないはずです。けれども、小西さんは行方不明者からは「不安などの感情が匂いで分かる」と言っていますし、表彰されて喜びのポーズを取材陣から要求されると、何となく犬っぽい手つきのポーズをとります。他にも細かく、小西さんが犬っぽい要素が時々登場しますが、よく観察していても、そうした仮説に至るのは至難の業です。確かに小西さんはおかしな人物なのですが、なぜおかしいのかを考えようにも、他にもおかしな人物だらけで、小西さんだけに何かの仮説を立てようというマインドになることができないのです。

 そうした謎設定やおかしなキャラが総出になっているのにシーズン1は(シーズン2もそうですが)たった3話で終わってしまい、謎が全然解けないままなのです。シーズン2で全部解けるのかと思っていて、それを観たいものと思っていましたが、今回映画のパンフに書かれたテレビドラマ版のあらすじ解説を読むと、一部の謎は解けるものの、新たな人間関係や新たなつながりが次々とシーズン2でも登場し、それらが有意に繋がることもなくシーズン2も終わってしまったようです。よくもこんな作品を天下のNHKが作ったものだと思えます。『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』と並ぶNHKによる怪作です。

 その事実に驚くことも落胆することもなく、「なるほど、ギャグがふんだんに入った『ツイン・ピークス』といった感じの位置付けの作品なのだな」と頷けて、余計この作品が好きになるのでした。そして私は劇場に赴いて、先述のようにパンフが売り切れている事実を知りました。

 シアターに入ると、最終的に25人ほどの観客がいました。特徴的だったのは単独客の少なさです。3人連れが3組も居て、さらに2人連れも3組居ました。これだけで15人で全観客の過半数です。この6組のうち1組だけ30代前後に見える男女が居ましたが、残りは全部かなり「高」に偏った中高年層でした。女性同士の組み合わせも多く、取り分け、他であまり見ない3人連れの構成がどのようなものなのか全く分かりませんでした。(よくあるのは両親+子供の組み合わせですが、子供の年齢が幼稚園児ぐらいからどう見ても50代というようなケースもあり得ます。今回はまさに後者のような外観の組み合わせや、どう見ても同年代に見える男女混合の組み合わせなど、なかなか珍しい状況でした。)

 全体で見ると男女構成比は女性の方がやや多いような感じで6割という風に見えました。年齢層の構成は先述の複数連れの客が全体に占める割合が無視できないので、やはり中高年層に偏っています。20代の女性の単独客や先述の30代前後の二人連れも居ましたが、少数派です。自分がハイグレード席に座ってみたので、意識して他のハイグレード席を見回したら、30代女性の単独客1名、2人連れの女性客が2組で、私も入れて6人だったように見えました。6000円の余剰売上が生まれていますが、見渡す限り、私以外はフリードリンクの権利を放棄している様子だったので、私以外は映画館側には利が多い客です。

 観てみると、なんだかよく分からない映画でした。それこそ『マルホランド・ドライブ』や『アイズ・ワイド・シャット』など、よく分からない映画は世の中にたくさん存在しています。しかし、この作品のよく分からなさは、ざっくり三つの事実によると思います。一つはテレビドラマの登場人物の多くはそのまま登場して設定を一応踏襲しているのですが、映画.comの解説文にあるように小西さんの捜索と言う体を取りつつ、警察組織としての捜査のような場面がほぼ皆無ですし、ミステリー的要素もほぼ存在しないことだと思います。

 二つ目は本来の主人公の一平とオリバー、そしてその上司や同僚が殆ど活躍しないことです。捜査場面が無いだけではなく、彼らが登場さえしない場面が非常に多く、物語の主要部分は失踪した小西さんと、同じく失踪していたフリー記者の溝口という男が主役であるがごときであることです。そして三つ目は、これらの二人が失踪していた間に居た場所は、ドラえもんのどこでもドアのような木製のドアで区切られたパラレル・ワールドのような世界でした。並行世界の主なものには、すべての事柄のモチーフがたこ焼きになっている世界や、歌姫の歌を観客が聞く往年のキャバレーのような場所、そして人類破滅後の未来のような仮面の原住民が都市の残骸の中で襲ってくるような世界など、色々あります。

 特に往年のキャバレーでは、歌姫は生バンドをバックに歌っています。一平達を教育した教官でもある婦警を久々の映画出演の深津絵里が演じていますが、この歌姫は深津絵里なのです。一平達一同も、客席のハズレに集まって来ている出番待ちの次のバンドメンバーになっています。私が好きなテレビドラマ版の『フラッシュ』で頻繁に起きるような、通常登場人物が違う役回りになるパラレルワールドです。おまけに普段は犬のオリバーであるオダギリジョーが人間の立場で登場するパラレルワールドさえあります。(私が観ていないシーズン2では、最後に逃亡する神々廻が橋爪功のマスクを取り払うとオダギリジョーであるらしいので、人間オダギリジョーはテレビ版にも登場していることになりますが…。)

 パンフによると、オダギリジョーが劇場版の企画に当たり、用意した脚本が2本あったらしく、1つがテレビシリーズのような警察ミステリーものの延長的な作品で、3時間を超える長さになる見込みだったようです。もう一つは登場人物はそのままに、パラレルワールド的な外伝的な位置づけの物語でした。そしてこの後者の方が採用された結果の今回の劇場版なのです。シーズン1だけとは言え、テレビ版の予習が(登場人物を知っておくということ以上には)役に立っていないように思えてなりません。

 勿論、テレビ版には登場しなかった、出演作を厳選しているという深津絵里の奮闘は圧巻で、キャバレーの歌姫をやりつつ、馬鹿げた会話を脚本に従って警察犬訓練の場で広げてみたりと、驚かされます。

 期待していた吉岡里帆演じるテンちゃんは、「ジャンボ宝くじ」の陽気でおかしな妹役や、『アット・ザ・ベンチ』の口論する宇宙人役などから、さらに一段ぶっ飛んだ日本語によるおかしな会話劇を、おかしな服装、おかしな髪型、麻雀牌の指輪までしてぶちかました挙句に、女装趣味に目覚めた中年男の役なのでブラがシャツから透けて見える鹿賀丈史らと、かなり激しいダンスまで見せてくれます。このシーンだけでもDVDは購入の価値があります。『ホリック xxxHOLiC』の女郎蜘蛛と今回の役テンちゃんを見比べるとなかなか楽しいかと思います。そこに『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』と『Gメン』を加えると、吉岡里帆のぶっ飛びキャラ映画のトップ数本のリストになるような気がします。

 鹿賀丈史・吉岡里帆に加えて、意外な新キャラも発見しました。嶋田久作演じる驚異的な記憶力の持ち主のマスターがいる犬カフェのバイト嬢です。テレビでは川島鈴遥という女優が演じていました。私が劇場で観た中では『死刑にいたる病』の被害者の一人や『リアル~完全なる首長竜の日~』での綾瀬はるかの子供時代を演じていたようですが、全く記憶がなく、本作のテレビ版で「観たことがない女優だ」としか思っていませんでした。オダギリジョーの初監督作品『ある船頭の話』のヒロイン役だったようで、テレビ版から映画版まで本作のほぼ全部のキャストは皆オダギリジョーの知り合い繋がりと言うことのようですから彼女もそう言う縁の出演なのでしょう。劇場版の方では別のバイト嬢で「火曜日しかシフトに入らないレアキャラ」ということになっていますが、菊地姫奈が演じています。かなりキレキレのファッションスタイル(ヘアスタイル・メイク・ファッションなど全部)でしたが、一目見て『ウイングマン』の美紅ちゃんだと気づきました。今回、彼女のウィキを調べてみて私が羊頭狗肉的駄作だと思っている『まなみ100%』にもカンナちゃん役で登場していたことを知りましたが、やはり『ウイングマン』以前だったので、全然認識が繋がっていませんでした。

 先述のような小ネタは劇場版でも健在です。トンボロで海岸沖の島につながるように現れた砂利道の途上に例の並行世界へのドアを見つけた警官深津絵里が突如ドアの向こうの小西さんに向かって「え~お、え~お」と叫び歌って呼びかけます。私もクイーンのファンではあるので、「もしや」と思っていたら、やはり劇中で一平が「フレディ・マーキュリーになった」と表現しています。

 多人数間の乱闘や言い争いを表現するダンスシーンもドラマに続いて健在ですが、結構キレキレのダンスを吉岡里帆(や菊地姫奈)らが一頻り披露した後、これまたドラマ同様に一平がそれを「正気に返って」止めるよう呼びかけ、「インド映画じゃないんだから」と言っているのも笑えます。

 楽しめる作品であるのは間違いないのですが、ドラマの物語感を引き継がず、パラレルワールドの「こんなのもイメチェンの不思議物語で良いんじゃない」(というようなことをエンディングの瞬間にオリバーが言っています。)という提案結果は、少なくとも私には少々興醒めであったのが残念な点です。

追記:
 登場人物が多く、情報を整理するためにはやはり必要かと思い立ち、東京方面に行く機会が3日後にあったので、室町のTOHO系映画館に足を運んでパンフをゲットしました。

追記2:
 タイトルの中に入っている「GOSH」の部分を映画館のアナウンスでもネットの動画でみる公開記念イベントなどでも「ゴッシュ」と発音していますが、米語が頭に刻まれてしまっている私はどうしても「ガッシュ」という発音が脳内に響いてしまいます。「千歳(Chitose)」を駅の案内で英語表記で見るとつい「チャイトーズ」と読んでしまうのと同じ回路です。「ガッシュ」と頭に浮かぶとどうしても金色のイメージが脳内に広がります。