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経営コラム SOLID AS FAITH 第616号
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ご愛読ありがとうございます。第616話をお届けします。
9月も終わりに近づきました。暑い日々が漸く終わり、秋になりました。
前回から始まった6回シリーズ『R6メリケン奇聞』は、お陰様で好評である
ようです。先日トランプ大統領の若き盟友チャーリー・カーク氏が暗殺され
ました。シリーズの『R6メリケン奇聞』の元となった訪米は昨年10月。その
年の7月にはトランプ大統領(候補)も暗殺されかけています。
ハリウッド映画を観ていても、最高頻度で登場する米国の課題解決手段は
銃ですが、麻薬密売者などはミサイル攻撃さえ受けています。安倍元首相が
暗殺された事件はありましたが、少なくとも自衛隊が密輸犯をミサイル攻撃
することはないと思われます。米国やその周辺の地域の人々の命は随分と軽
いようです。
そんな米国の人々の生活の様子をリアルに描き、そこからの気づきや学び
を日本社会や日本の中小零細企業経営に活かす企画としてこのシリーズを組
み上げてみました。第2回の今回は『荒んだ路線バス』と題して、車社会と
いう切り口から見た米国の実態を描いてみます。
車を持つことができず、車社会のど真ん中で、悪臭漂うバスに乗る人々。
車検のない米国で日本人の目には車の体を為していないように見えるオンボ
ロ車を乗り回す人々。その脇を軽快にすり抜けていくテスラ。バスの車窓か
ら見える景色は街の真ん中よりも色濃く格差を表現しているように見えまし
た。
自由に恵まれた生活を送るのも、不自由の中に喘いで暮らすのも総て自己
責任の国のはずです。これほどのあからさまな格差が、そうした人々の目に
どのように映っているのか、ニュースで報道される荒んだ人々のありようと
照らし合わせつつ、ご一読いただければ幸いです。ご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その616:荒んだ路線バス =シリーズR6メリケン奇聞(2)=
「ああ。7つの大罪は今もそのまんまだなぁ」
私は汚れた物品が散乱し悪臭まで漂う路線バスの窓から街並みや人々を見
て呟いた。増田悦佐の『クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相』
は頷かされることが多い。15年ぶりぐらいに訪れた米国オレゴン州の10月の
晴れた日、ホスト・ファミリーの人々が止めるのも聞かず、私はバスに乗っ
た。貧富の差は以前よりさらに激しくなった。バスが州間道に入ると、真新
しいテスラが滑るように隣の車線を追い抜いていく。
米国では小さな市町村が山ほどある。ニューヨークやLAなどは例外中の例
外。真偽を私は確認していないが、「家が3軒同意して、郵便局と消防署が
あれば、町が作れる制度」だと現地の知人は笑う。バスが通るオレゴン州の
州都の付近の町の各々に数えるほどしかない家々に、汚れたりへこんだりし
ているピックアップ・トラックが停めてある。
田舎道をこちらに来る対向車を擦違いざまに見ると、窓のガラスがなく農
家のビニールハウスの素材と同じようなビニールシートをガムテープで貼り
付けてあった。修理する意志か金銭的余裕がないのだろう。こうした車は少
ないが珍しくはない。運転手は私と目が合ったが、何恥じ入る訳でもなく泰
然としていた。
バス停間の距離は遠い。反対方向のバスを待つ人々が車窓を流れて消えて
いく。大抵薄汚れて脂でべたつきそうな厚手のパーカーを着込んでいる。車
社会で自家用車を持たずに暮らす人々。中古車ディーラーに行けばバカ安い
車もある。バス停に俯いて佇む人々は買えても維持費が儘ならないのかもし
れない。1時間に1本もない路線バスに頼っている。
アフリカで全員が貧困に喘いでいる状態より、米国ニューヨークのホーム
レスの方が幸福度は低いという説を遥か以前に聞いた。それが本当ならその
幸福は公平感によるものだろう。毎日ホームレスの目には恵まれた人々が映
っている。米国には「絶望死」という統計がある。自殺、薬物過剰摂取、ア
ルコール性肝臓疾患による死亡数の合計らしく、低学歴層の絶望死が増加中
らしい。30分ほどのバス乗車であからさまに分かる貧富の差。それを日々無
意識に刷り込まれて、絶望する人々が居ても不思議はない。
独立当初に書いた『人材育成のレポート』の動機づけの説明部分で私は
「公平感」について書いたことがある。公平に扱われることは組織の中でか
なり重要な動機づけの要素となっている。米国には遥かに及ばないものの、
日本社会でも格差が目立ってきたという。社会の不公平はネットの定番ネタ。
ならば余計のこと、中小零細企業で実現のたやすい公平の価値は上がる。公
平の実現は自社のアピール・ポイント足り得るようになった。
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次号予告:
第617話 『ゼロ・アメニティ』
シリーズ『R6メリケン奇聞』(3) (10月10日発行)
米国の経済格差は広がって、貧困層はスーパーマーケットでさえ食品を買
うことができず、日本で言う百均の食品を買い漁っていると報じられていま
した。米国版百均のダラー・ショップの様子を描いてみます。
(完)