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経営コラム SOLID AS FAITH 第608号
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ご愛読ありがとうございます。第608話をお届けします。
5月も終わりに近づき不安定な天候が続いています。一部地域では梅雨入
りもしたようです。世界的にはキナ臭い話が増え、「既に始まっている」と
も言われる第三次世界大戦的状況があちこちで発生しています。
直接的な戦争や紛争のニュース以外にも兆候はあちこちで見られます。戦
後初のドイツ軍の海外駐留であるリトアニア駐留まで始まりました。北海道
では自衛隊が雪祭りで作る雪像の数を減らしたいと言い出しました。他事で
忙しいという理由のようです。米国ではハーバード大学からすべての留学生
を締め出すとトランプ大統領が言い出し、大騒ぎになっています。いろいろ
な物事のベクトルは概ね同じ方向を指しているように感じられます。
経済もどんどんブロック化が進み、第一次大戦・第二次大戦の直前の世界
経済情勢に似ていると言われています。人工で金が作れるようになったと報
じられても、金は暴騰を続けています。世界全般に通貨がアテにならなくな
ってきているということかもしれません。現在の日本では戦時下の会社経営
を体験談として語れる人が大分減ってしまいました。戦争になると企業経営
がどのような影響を受けるのかは、VUCAの時代だからこそ、経営者の研究課
題として浮上しつつあるように思えます。
戦時下の企業活動をいろいろな資料で見ると、各種の統制が事業展開の制
約となってしまう側面はあるものの、直接的な戦場から離れた場所では寧ろ
軍需の膨らみが、中小零細企業も含め大きな事業機会となるケースは多いよ
うです。戦後日本の朝鮮戦争特需は非常に有名です。個々の企業単位で見て
も、極端な例ですが、処刑するユダヤ人の情報管理を行なう大規模システム
をナチスから受託開発してIBMは大儲けをしたりしています。
今は宇露戦争で有名になったワグネルのように、「直接戦闘サービス」を
提供する民間軍事会社まで多数存在する時代です。日露戦争を第零次世界大
戦と呼ぶことがあるようですが、新たな世界大戦の時代においても、自社の
組織を守り発展させる経営の目を常に持ち続けるべきであろうと思われます。
今回お届けする608話は『凡常の美徳』と題して、中高年人材の強みや組
織における人材の評価ポイントについて考えてみたものです。ご一読の上、
自社の中高年人材、自社の若手人材の質や活躍状況などを省みていただくと、
意義深く感じられる内容かと思っております。是非ご一考ください。ご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期
は5営業日!!
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その608:凡常の美徳
還暦を過ぎて「今の若い人は」という定番のフレーズを使うことが憚られ
るようになった。「今の若い人」の話は「やり抜く力がない」、「読解力が
極端に乏しい」、「小中学校ぐらいまでで習うはずの当り前の知識がない」
など、大抵低質人材の評価が続く。そういう話をすると、如何にも自分は違
うという風な尊大老人に聞こえるだろうと躊躇する。
自分が若い頃、そうした尊大老人の全く熟考も何も感じられない紋切発言
が薄っぺらく感じることが多かった。一方、高卒で一旦働き始めて24を過ぎ
て大学で学ぶことになるまでの間、私は「やり抜く力」も「読解力」も「常
識的知識」も非常に乏しい社会人・組織人だったと自覚している。テレビを
見ていたら、あのがいつもの如く「“若い人”で括らないでください」と
言っていたが、モデル化は古典的な科学的思考の一つであろう。今でも化け
たように凄い人間になってバリバリ評価されているとは思っていないが、老
人になって少なくとも経験を基にした洞察は以前よりできるようになったと
は思う。
「中高年はもう奪い合いですよ。引き受けた仕事は何があってもやり切ろう
とするし、それができないことを恥に思っている。(中略)それに比べて
トー横キッズみたいなやつらはまったく使えない。すぐ逃げるし、スマホ
ばっかり見てて集中力がなく、状況判断もできない。だから闇バイトで報道
されるのって若いやつらばかりでしょ。無能だからなのよ。中高年はちゃん
とやるからニュースにならないだけ」。
雑誌『SPA!』(2024年11月19日号)の「中高年闇バイター」について書
かれた記事の一文。東南アジアを拠点にした中国系トクリュウの40代幹部が
闇バイトを行なう闇バイターの中で中高年日本人人材は非常に優れていると
語る。
「例えば振り込め詐欺で受け子が取ってきたカネの回収役。若いやつはカネ
持って飛んじゃうことも多いけど、おっさんはびしっとスーツ着てキッチリ
組織に上げてくる」らしい。
大崎のビルの数フロアを占めていたアウトプレースメント会社で私が嘗て
見かけた大量のリストラ中高年人材が、こうしたトクリュウの幹部に評価さ
れるような仕事ぶりを見せてくれるようには想像できない。「私はどんな組
織でも業績を上げて行けると思いますよ」と自信満々だった人材群も、中小
零細企業の社長付インターンシップのプログラムから次々と遁走した。ベイ
ズ統計学に明るくないので、彼らが少数派だったのか分からない。
大方の「今の若い人」は諸々の書籍に書かれている通り、仕事もやり抜け
ず、責任からは言い逃れて、2時間の映画も満足に集中してみることができ
ず、本を読んでも満足に理解できないという。悪事でさえ真面目にやりこな
す実行力はいつから生まれるのか訝しい。
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次号予告:
第609話 『抗ショック・ドクトリン』 (6月10日発行)
現在の日本社会に対して「生き辛い」といった定番の評価を聞くことがあ
ります。或る本で「以前に比べて不満は減ったが不安は増えるばかり」との
言説を目にしました。組織における動機付けの観点から考えてみたいと思い
ます。
(完)