『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

久々に新宿のバルト9の夜の回で見てきました。上映回数は一日に6回ほどありますが、上映されたシアターは館内で多分一番座席数の少ないところでした。

ヤマトがイスカンダルに行って地球に帰って来るあれだけ長いストーリーを2時間弱にまとめた訳ですので、話自体がどんどんワープしていく感じでしたが、黒木メイサ演じる森雪も、高島礼子演じる(オリジナルでは酒びたりのおっさんである)佐渡先生も、見ているうちに馴染んでくる、全く別物のお話と考えて、一応、楽しむことができました。オリジナルとの違いは、少なくとも『破』までのヱヴァンゲリヲンとオリジナルの相違より大きいように思います。

オリジナルのヤマトのテレビ放映がされていた頃、私は小学生でしたが、多分、『謎の円盤UFO』や『事件記者コルチャック』、『宇宙大作戦(=スター・トレック)』などの洋物実写ドラマをよく見ていたのか、何か他のものが好きであったようで、殆どヤマトの内容に関心を持たないまま今日に至っています。一応、最初のテレビシリーズぐらいのストーリーは何となく覚えていますが、それ以降のテレビや映画のストーリーはほぼ100%分かりません。

記憶を手繰ると、「エネルギーを120%貯めるってのはどういうことだろうか」とか、「なんで、宇宙戦艦は宇宙空間のあちこちから集まっているのに、上下の軸がいつも統一されているんだろう」とか、「ヤマト農園とかいうのは、一体どこにあるんだろうか」とか、「空母でもないのに、どうしてナンチャラタイガーがたくさん出て来るんだろうか」とか、気になっていたポイントがいくつも思い浮かぶので、どちらかと言うと当時はアンチだった可能性が高いようにも思います。

それでも、この映画を見に行こうと決めたのは、テレビ番組のあちこちに木村拓哉が出演しては、執拗に映画の宣伝をしていると聞き、そのようなプロモーションの一環なのか、雑誌などで見る評価もそれほど低くないものを目にし、話のタネに見に行こうかと思ったという程度の考えです。最近テレビもあまり見ないので、映画の予告を見ることもなく、内容がどのようなものであるのかもよく分からないまま、「まあ、話題ではあるんだろうから」と言う程度のノリです。

ちなみに、テレビも見ないうえに、ジャニーズ系のタレントにも全然関心がないので、木村拓哉主演のドラマや映画も殆ど見たことがありません。何話か見たことのある木村拓哉主演のテレビ番組は、タイトルをいちいち覚えていませんが、彼が、パイロットだったり、検事だったり、総理大臣だったり、脳科学者だったりしたように思います。

映画『武士の一分』はどうだったのか分からず、確かめるために見たいとも思いませんが、テレビ番組で見る限り、色々な役の木村拓哉は、いつも木村拓哉で、人格的には同一人物になっているように感じていましたが、古代進役の木村拓哉も、全くの木村拓哉でした。ワープしがちの物語展開とCG全開の映像なども相俟って、木村拓哉主演の新たなテレビ特番番組と思ってみると、なかなか良いできの番組です。

オリジナルのヤマトでも、どこかのバージョンではどんどん人が死んでいく話があったように聞いた記憶がありますが、今回の映画でも、ハイペースで登場人物が命を落としていきます。一応皆、無駄死にではなく、その時点での何かの目的を達するために命を投げ出すと言う構図が連発します。その点だけ見ると、ただやたらに人が死んでいくスプラッタ映画的な展開では勿論なく、『プライベート・ライアン』などの戦争ものよりも死と引き換えに得られるものが重く、どちらかと言うと、『ポセイドン・アドベンチャー』的な死の連続です。

自分の手で仲間6名を死に追いやった森雪を慰めついでに、イスカンダルにまだ着いてもいない段階のワープ途中のむさくるしい船室で、艦長代理の立場の古代進がいきなりセックスに至るなど、『ターミネーター』でも『ドミノ』でも見られる、生命の危機に瀕すると種の保存欲求が湧くという展開まであるので、その意味でも物語上、乗組員たちは無駄死にではないと見るのは不謹慎かもしれません。ただ、この話がないと、エンディングで緑に戻った地球の大地で森雪が古代進の写真を見つめる傍らに古代進の子供がいるという、『パイレーツ・オブ・カリビアン』ばりのシーンが成立しなくなるので、人類の存亡がかかった厳しい戦闘相次ぐ航海の中、艦長代理自ら部下の女性に手を付けなくてはならなくなってしまうのでしょう。

いきなり古代守が戦死する冒頭から、オリジナルと違うものを期待するべきと悟って見ていくと、結構古典的な特撮SFもののようにも見えます。楽しめたのは嘘ではありませんが、『アルマゲドン』か『ディープ・インパクト』のような終わり方も含めて、既視感が湧く場面は多く、やはりテレビ特番のようにしか見えないので、DVDは必要なく、あまりに木村拓哉の物語過ぎるので、あまり分かっていないアニメのヤマトのDVDボックスを借りるなり買うなりする気も全く湧かないぐらいです。