『私にふさわしいホテル』

昨年12月27日の封切から1ヶ月と数日経った1月最後の木曜日の晩21時55分からの上映を新宿のピカデリーで観て来ました。1日1回しか上映されていません。都内では他に渋谷で上映されているだけで、上映館も非常に限られて来ています。先日観た『山逢いのホテルで』のように上映は行なわれていても映画.comでは上映されていないとの表示になっているようなケースもありますので、その辺の情報の信憑性が私には揺らいで感じられますが、映画.comで見る限り翌日の金曜日段階で都内どころか関東圏で上映館が一切なくなってしまいましたので、上映の最終日に滑り込むことに偶然成功したのだと思われます。

98分の短い尺ながらスタート時刻が遅く終映は終電ギリギリといった時間になります。それにしては、封切1ヶ月で最終上映日であることを考え合わせると、約20人の観客は大違法なのではないかと思えます。最後列の私の座席から見渡す限り、全員単独客の男女構成比はほぼ半々でした。なぜそうなるのか分かりませんが、女性は30代ぐらいが多く、中高年らしき人物は皆無のように見えましたが、男性の方は私も含めて中高年層が圧倒的多数派で、ほんの1、2人の若手を除き、残りは明らかに50代以上、それも60代以上ぐらいの老人層に比重が偏っているような状況でした。

男女の性別ごとの年齢の偏りは非常に気になります。少なくとも比較的若目の層は、原作著者の柚木麻子(ゆずき・あさこ)の作品群のファン層で、それ以外は監督の堤幸彦のファン層という超アバウトな仮説を立ててみましたが、仮説の検証ができる訳でもありません。小説をほぼ全く読まない私はこの原作者がどのような小説群でどのような評価を受けてどの程度人気なのか、ほぼ全く分かりません。ただ、劇場鑑賞後にネットで写真を見ると、過去に『王様のブランチ』の書籍紹介のコーナーに出ていたのを見たような朧気な記憶がありました。さらにウィキを見てみて、私が木村文乃目当てでDVDでドラマも映画も結構楽しく観た『伊藤くん A to E』の原作者であることを知りました。私の知るこの作品が原作でも同様の面白さを持つなら、それなりに多くのファンがいても不思議なさそうに感じます。

監督の堤幸彦の方は、私にとっては大好きな『SPEC』シリーズの監督です。私の周囲に『SPEC』シリーズのファンは殆ど存在せず、寧ろ同監督の『トリック』シリーズや『ケイゾク』シリーズのファンの方が圧倒的ですが、私はそれら二つをDVDなどで流し見してみて、あまり関心が持てませんでした。『SPEC』シリーズ(特に最終話になる映画二本に至る前)の作品群が大好きです。その後のこれまた木村文乃主演の続編になる『SICK’S』もやや遣り過ぎ感が漂いますが、『SPEC』、『SICK’S』、『トリック』、『ケイゾク』の4シリーズを比較すると、前2作が後ろ2作にかなり間を空けた順位に居ます。

先日あるSIerでの会話でシステムの開発の経緯の話をしていて、「あの機能はバージョン1から入っていたのですか。2からではないですよね」などと私が言うと、「あ。本気に入ったのは2ですが、テスト的な感じは2の前ですね」との答えが偶然帰ってきました。それを聞いて私は「2の前…。ニノマエ。それは『SPEC』の話ではないですよね」と笑って返すと、「『SPEC』、ホントに好きですよね」と笑われたことがあります。それぐらい、好きです。

原作者が『伊藤くん A to E』と同じであることは鑑賞前に気づいていませんでしたが、監督が堤幸彦であることは知っていました。これも一つの鑑賞動機のピースですが、最大のピースはいつもの如く、この作品がのんの主演作であることです。

私にとっての注目女優は多々いる中で、私は特にのんファンではないと思っていますが、その主演作を観たい理由は、購買による意見表明の原理に拠っています。長くなりますが、『星屑の町』の感想記事からそれを解説した部分を以下に抜粋します。

「ただ、私がこの作品を観に行くことにした動機は、この作品が持つ背景の物語や高い練度ではありません。単純にのんを通じた“買い手主導(=マーケット・イン型)のビジネスへの金銭による投票行為”をしたかったということに尽きます。2015年に観た『海月姫』の感想で…

「主役の能年玲奈を私はよく知りません。彼女を一躍“時の人”に仕立て上げた『あまちゃん』も、番組評や文化評論的な文章を幾つか読んだことがあるだけで、なぜか全然関心が湧かず、全く見たことがありません。彼女の出た映画は、最近で言うと『ホットロード』だと思いますが、観ていません。私が大好きな映画『告白』にも出演していたと言う話ですが、誰の役だったかさえ私は分かりません。観てみて、オタク風体でも自然で、かわいく変身しても、頷ける魅力も分かりましたし、パンフで篠原ともえが、「能年ちゃんは、近くに行くと、音がする。“キラキラ”って」と言っているのも宜なるかなとは思います。しかし、私は特に好きになることもありませんでした」

と書いています。ファンである訳でもなく、今でも彼女の今後の活動を追っかけてチェックして行きたいと思ってはいません。ただ、2015年当時上述のような社会的な評価だった若手女優が芸能界の諸事情から、あっという間に一旦姿を消し、『あまちゃん』制作現場での関係性の深さで「(能年玲奈の)芸能界でのお母さん」とまで言われて厳然と且つ公然と能年玲奈を支持していた小泉今日子まで発言を控えるようになり、今では不倫バカ扱いされている状況を見ると、業界の“しきたり”の強さを素人でも感じざるを得ません。

これは、芸能界にかなり疎い私でもパッと思い出せる事務所契約で揉めた鈴木あみ(旧「鈴木亜美」)の問題や、ネットでは秋元康への枕営業拒絶によると言われることが多い裕木奈江の問題などと同様に、私には(私は特にこの二人のファンと言う訳では決してありませんが)これらが、全く馬鹿げたファン不在の議論であるように思えてなりません。勿論、私は芸能事務所側も、芸能人に対して多くの投資をし、興業を行なっていく上での数々のリスク回避を代行していることを知っています。ですので、所属芸能人の不当な行為に対して何らかの賠償請求や制裁を設けることは間違っていないと思っています。ただ、その制裁の際に、ファンの意向が極端に無視された事態は、あるべきではないと思っています。

最近は、ジャニーズ事務所の急激な弱体化などの流れの背景にSNSなどに投影されるファンの意向がありますから、大分、「マーケット・イン」型の思考に変わって来ているようには思っています。しかし、ファンまたは「買い手」無視の商売のあり方は、芸能界にもそこここに散見されます。私は特にB2Cの商売は基本的に「購買=“金銭の支払による人気投票”」だと思っています。支持されるべきビジネスは基本的にその内容と姿勢の両方から顧客の購買を惹起して売上と利益の両方を伸ばし、そうではないビジネスはじわじわと時間と共に淘汰されて行くものと思っています。

私は一連の日本に対する外交的な態度で韓国に嫌悪感を抱きますので、一人不買運動を行なっていて、意識的に韓流映画作品は劇場でもDVDでも避けるようにしていますし(主役以外の韓国人俳優の出演は許容していますが…)、LINEも使いませんし、牛丼屋でキムチを付けたいと思った時にも生産国を確認します。“金銭の支払による人気投票”をしないケースはこのように実現されていますが、当然ながら、逆に“金銭の支払による人気投票”を積極的に行なうことで支持を表現することもします。今回の映画を観に行こうと決断したのも、まだまだ多くの芸能界の機会から締め出されているのんに僅かでも収益をもたらすためです。それは、よく知りもしないのんのファンだからではなく、「買い手」無視の業界慣行に逆らう活動を応援したいという単純な動機でしかありません。

この映画のトレーラーを見て、この映画のオフィシャル・サイトで…

「さらに、本作のキーパーソンともいえるのが、6年ぶりの実写劇場映画出演となるヒロイン・のん。『マイ・フェア・レディ』のイライザの如く、田舎娘がやがて大輪の花を咲かせるまでの変身を見事に演じ、吹替えナシの透き通る歌声で、妖艶さと軽快さを見事に歌い分ける。60年代を意識した衣装の七変化も見逃せない。長年培われた熟練の芝居に、のんの透明感あふれる演技が加わることで、意外性がありつつも、またとない最高のメンバーで、観る人すべてを魅了する!」

と書かれていますが。のんの透明感は際立っています。取り分けとんでもない美人顔でもなく、今はやりのモデル系の容姿でもありませんが、逆に、その「ややフツー感」が田舎娘から歌唱力売りのアイドルに変貌していく各々の場面を的確に表現するパレットとなっているように思えてなりません。その表現できる人格の幅に驚かされます。それはステージ上の衣装によるイメージのバリエーションでも実現されていて、何を着てもそれ風に見えるのは、驚異的です。」

以上の抜粋分にある通り、私は通算すると劇場で観ただけでも『海月姫』、『星屑の町』、『私をくいとめて』の三本で「投げ銭」をしており、そして今回の『私にふさわしいホテル』が加わりました。三本を観た後にDVDでスカイハイシリーズの『天間荘の三姉妹』も観ましたし、『星屑の町』の鑑賞時にはのんのDVD付のCD(ファースト・アルバム『スーパーヒーローズ』)まで購入して投げ銭を重ねています。『さかなのこ』もかなり観に行きたかったのですが、139分の長尺に恐れを生している傍らで、観たい映画が多々あって、結局観ることができませんでした。レンタル・サイトの作品群に入っておらず、観ることができないままになっていました。今回の作品鑑賞を機会に思い出し、大分価格が下がっているようなので、DVDを購入しようかと思っています。投げ銭三昧です。

また、私が都内でタクシーに乗ると後部座席のモニタで放送されるCMにそれなりの頻度でのんが登場します。特に飽きるほど繰り返し見せられたのは一昨年辺りのENECHANGEのCMでのんが歌い着せ替えアプリのように服を次々と変えて行く様子をいやというほど見せられました。のんが出演しているのを私が見ることがあるCMで訴求する商品群は、このENECHANGEの充電スタンドを含め、少なくとも私の日常生活の中に存在していないことが非常に多く、私は密かに「のんはCMスポンサーにとっての厄病神ではないか」という微かな疑惑を抱いています。

(能年玲奈からのんになった直後の大口CMクライアントにユニクロがあったようですが、のんの契約が切れた2020年以降のタイミングで不振だった業績が急激に回復したように思えます。国民年金基金は個人事業主としてガッツリ契約していますが、こちらの方は、私がのんのCMを観た覚えがありません。)

さらにもう一つ小さな鑑賞動機があります。それはのんと橋本愛の共演作を観るという動機です。私にとって橋本愛は何か捉えどころのない女優です。実写版の『寄生獣』二連作のうち、原作ファンとしては結構酷い作品である1本目の感想で私は橋本愛について以下のように書いています。

「■さらに、これまた大ファンと言うほどではありませんが、橋本愛も結構好きです。
ホラー系の作品の『アバター』や『アナザー』にも主演しているどころか、『貞子3D』で貞子を演じる暴虐ぶりですが、一方で、『告白』、『桐島、部活やめるってよ』、『渇き。』の彼女は、私から見て等身大の“その年代の子”がやたら自然でやたらに印象深く演じられていると思っています。後者のグループの延長線上で、確かに、私が『寄生獣』で最も好きなキャラである村野里美を演じると言うことなら、これは必見と判断せざるを得ません。」

そして『寄生獣』の第二作の方では、橋本愛は期待以上の大活躍で、原作にもある主人公とのセックス・シーンも異常なぐらいに丁寧に緻密に描かれていて驚かされました。エンディングでも重要な役割を持つ役柄でしたが、原作から乖離することなく原作の魅力のキャラ村野を三次元に再現することに成功しています。という風に、ジワジワと好感が増して、私にとっての注目女優の一人になりかけたのですが、『寄生獣』第二作の直前に観ている『ワンダフルワールドエンド』で私は橋本愛が目指す方向が全く理解できなくなりました。

その後も、明らかに彼女は何かの主義や方針を以て出演する作品を厳選しているように思えます。『寄生獣』第一作と同年に公開されている『リトル・フォレスト 夏・秋』・『リトル・フォレスト 冬・春』の連作で彼女は主演を務めていますが、それ以降、彼女が主演を務めるのは先述の『ワンダフルワールドエンド』を始め、私がDVDで観たことがあるものだけでも『うつくしいひと』『PARKS パークス』『ここは退屈迎えに来て』『21世紀の女の子』とどれも認知度の低い作品ばかりで、多くが若者の日常を心象風景として描いているような作品ばかりです。

私はTVドラマをあまり観ないので分かりませんが『あまちゃん』への出演や、ウィキにあるように大河ドラマで主人公の正妻役を3度もやっているなど、十分な知名度があるはずなのに、映画ではこうした主演作ばかりなのです。『私をくいとめて』や『ホリック xxxHOLiC』など多少認知度の高い作品にも登場していますが、そこでは端的に言って端役ばかりに見えます。『残穢 -住んではいけない部屋-』もホラー作品として一定の評価のある作品だと思いますからこの分類に入れられるかもしれません。この状況は余程何か(それこそのんが業界から干されていたような)何かの裏の関係によるものなのか、先述のように本人が何かの主義・方針によって自分の出演作を絞っているのか、そうしたことが無ければ説明できない状況のように見えます。

最近ではTVerで観ていた『新宿野戦病院』で歌舞伎町のフィクサー的人物の娘でオモテの顔はボランティア系NPO代表、裏の顔はSMの女王という濃いキャラクターを好演していたり、中央日本土地建物のBAUSのCMでやや物憂げな面もある明るい若妻を好演していたりするのに気づいていました。

その私から見て、橋本愛の活躍はなぜかのんと組み合わさった際に際立つように思えています。『私をくいとめて』の追記で私は以下のように書いています。

「ネットの映画紹介記事などでは、「のんと橋本愛の『あまちゃん』名コンビが復活」的なキャッチが目立ちます。しかし、本作で橋本愛の出番は(冗長なと感じるぐらいの)イタリアでのシーンでしかありませんから、コンビ的に観たてられる場面は非常に限られています。また、『あまちゃん』のみならず、『告白』でも『アバター』でも二人は共演しています。私は全く観ていませんし関心も持てませんが『あまちゃん』人気にあやかろうという無理筋な販促感がアリアリな打ち出しが不自然で不愉快に感じられます。」

事実を歪めた形の報道のありかたには辟易させられますが、少なくとも出演作が少ないのんの橋本愛との共演作が多いのは事実で、特に『私をくいとめて』からはこうした作品群では前述の通り端役が目立つ橋本愛が、のんと対峙してのんの魅力を引き出す大役を果たす形式が見られるように思えるのです。パステル画か水彩画のような映画の主役を連発する橋本愛ではなく、脇役ながら躍動する橋本愛を観るというのが、この作品の鑑賞動機の一部でした。

観てみるとのんの魅力炸裂感は半端ではありませんでした。のんの透明感は30を過ぎて尚不変と言って良いぐらいで驚かされます。『星屑の町』のようにやりたいことに突き進む要素に『私をくいとめて』のようなコメディタッチが加わり、見応えがあります。

そして今回は元演劇部の新人女性作家が策謀を巡らし、体当たりの演技で文壇で伸し上がって行こうとする役です。コミカルで大袈裟な言動と(変顔や瞳(というより眼球)ドアップまで含んだ)頗る広いふり幅の表情、そしてトナカイの着ぐるみを含む多彩な衣装など目まぐるしく見せ場が連続します。それらのどれ一つとして違和感がなく、観て楽しい女優であるのは間違いありません。また、今回もやや取って付けたような場面設定ではありますが、スナックや銀座の高級クラブで歌い踊る場面が何度も登場して、『星屑の町』以来の歌って踊れる女優芸を全開に披露しています。私の観た中ではのんの出演作で最も高評価の作品です。

橋本愛の方も、のんの演じる女流作家がPOPを書いて欲しいと懇願に来る業界で伝説のカリスマ書店員の役を演じていて、のんとの掛け合いがかなり楽しめます。当初はのんの作家がまだ無名に近く、強烈な塩対応をしていますが、後にその界隈の書店を荒らしまくっている万引き犯をのんの作家が偶然成り行きで捕まえると、手のひらを返したような遜り阿る態度を取って来るのです。笑えます。オレンジの髪にベレー帽という特徴的な格好のオタク臭い書店員ですが妙にハマっています。この辺の関連情報がパンフで読めたらよかったと思いますが、残念ながらパンフは売り切れとのことでした。(上映館が一気に消えてしまったので、後日他の上映館でパンフだけ買うという選択肢もなくなっています。)

のんが演じる女流作家を酷評し目の敵にしている大御所作家、東十条を遠藤賢一が演じています。私は最近DVD-BOXで飽きずに繰り返し観た『今日からヒットマン』でハードボイルドな初代二丁役を演じているのが、深く記憶に刻まれています。他には最近DVDで観た『ミステリと言う勿れ』の映画版で自分の娘に呪いが続かぬように命を賭ける父親の役を大真面目に演じています。白髪が巨大に膨らんだ髪型に和服で偏屈な大物作家をコミカルに描いていて笑えます。その遠藤賢一の大物作家が常連の銀座のクラブのママが田中みな実で、私にはTVerで観ていたドラマ『ギークス~警察署の変人たち~』以来ですが、『ギークス…』の主役級の警察医よりも今回の脇役の方が存在感が大きかったように思えます。

さらに、私は第一作しかDVDで観ていないもののかなり世の中的にはヒットしている『ベイビーわるきゅーれ』シリーズや私が見た中では『セフレの品格(プライド) 決意』でキーパーソンの咲を演じている高石あかりが東十条の娘を、今回の監督堤幸彦が手掛けた『SICK’S』シリーズで人間の寿命をポテトチップスにして食べて奪うという奇妙なスペックを持つ女を演じたのが印象に残っている若村真由美が東十条の妻を演じていますが、かなり安定の演技で安心して見ていられます。『コンフィデンスマンJP』ばりののんの臭い芝居に載せられ翻弄される姿が、これまた笑えます。

例えば『コンフィデンスマンJP』や最近観た『スオミの話をしよう』のようなとんでもない派手さもなく、これまた最近観た『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』のような脱力系のエンタメとも違い、人間関係描写をきっちり取り込んだ物語を、文壇を物語背景にして、格調高い実在の山の上ホテルを中心的な舞台に位置づけて、のんのコメディエンヌとしての魅力を最大限に引き出した秀作だと思いました。DVDは間違いなく買いです。

追記:
この作品のエンドロール後に、私が鑑賞候補作に入れていた3月封切の『早乙女カナコの場合は』の告知がいきなり登場します。私は橋本愛が主演と知っていたので、これはまた心象風景系の若者映画かなと思い込んでいて、候補作に入れていましたが優先順位が低く、(スクリーンで観ることがレアな根矢涼香を観たくはあるものの)DVD鑑賞で十分かと心積もりしていました。
ところが、エンドロール後の告知で、この作品が本作『私にふさわしいホテル』と同じ柚木麻子が原作者で、橋本愛は書店員ではなく出版社勤務の編集者に立場を変えて、のんが本作と同一人物の作家として登場するというのです。
帰宅後、慌ててPCを立上げて映画.comの『早乙女…』のページを開くと、「全てのスタッフ・キャストを見る」のボタンを押してひろがるキャスト欄の遥か一番下に「のん」がクレジットされていたのでした。橋本愛主演のダメンズ恋愛劇のようではありますが、観なくてはなりません。

追記2:
実在のホテルである山の上ホテルの存在を私は知っていましたが、この映画に描かれているような多くの文豪たちに愛され、今尚多くの作家の聖地のような場所になっていることを私は全く知りませんでした。泊まる必要はないものの、聖地巡礼気分で一度食事にでも行ってみようかとサイトを見てみたら、2024年2月から建物の老朽化対策のため休館していることを知りました。

☆映画『私にふさわしいホテル』(Prime Video)