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経営コラム SOLID AS FAITH 第591号
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ご愛読ありがとうございます。第591話をお届けします。
テレビ離れは久しいですが、政局の関係でテレビで政治家が国政を語るの
を聞く機会が増えました。専横な近隣国や度重なる災害に対して体を張って
対応してくれている自衛隊に法的立場をきちんと用意するなどは、遅きに失
していると感じますが、どうもそれ以外の論点は根拠そのものに違和感を覚
えることが多々あります。どの政治家も日本がダメだという前提で話を進め
ているからです。
勿論、悪い所を良くし、足りてない所を満たすのが政治の役割でしょうか
ら、そうした事柄が内容に多くなるのは必然です。しかし、「海外に比べて、
あれがない、これができていない」という論調は全く戴けません。突出して
何かが秀でている国も、全てがパラダイス状態では全くありません。寧ろ人
間の性格同様に、短所と長所は同じコインの裏表であったりします。「自虐
史観」という言葉がありますが、史観のみならず、「日本が劣った国で、今
となってはどんどん悪くなる一方」といった妄想を首相になるかもしれない
人間の口から聞くことがあるのには驚かされます。
発行日がジリジリと迫ってきた今年の25周年記念特別号は中小零細企業の
生産性とその背景にある日本の成長性について、百家争鳴の巷間の議論の中、
このコラムの立場を表明してみたいと思っています。ここでもまた「日本は
もうダメだ論」に触れ、否定してみたいと思っています。ご期待ください。
今号は『ハズレ籤』と題して、好きな物事のみに絞り込まれた消費行動に
ついて考えてみます。スマホを通して観る世界は、スマホの裏側でせっせと
働くAIが閲覧者の好みを瞬時に分析しているので、閲覧者が見たい内容ばか
りでどんどん埋められていきます。不快なことは登場せず、考えさせること、
すぐ答えが出ないことも、徐々に減って行き、単純で分かりやすく、楽しく
嬉しいネタがどんどん増えていきます。
巷ではドラマで誰かが言っていたような「人生は一度きりだから好きなこ
とをしよう」や「わざわざ嫌なことをやってストレスを感じるのは間違って
いる」などの価値観をあからさまに表明する社員もいます。確かにそれは楽
で気持ちよく嬉しいことかと思います。ただ一つ疑問なのは、そういった人
物のGRITはどのように獲得されるのかということです。色々な話題を盛り込
んだ号ですが、そんな視点で『ハズレ籤』をお楽しみください。ご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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その591:ハズレ籤
年金を貰える年齢になって老人割引が効くようになったので、毎月劇場で
観ている映画を観る動機がやや増した。どれを観ようかとネットの映画のサ
イトで上映予定作品をチェックすると、あれもこれもと結構関心が湧く作品
が見つかる。映画サイトには自分の見たい作品を登録し感想をアップするよ
うな機能もある。しかし、過去にお気に入りの映画サイトがいきなり使い勝
手の悪いものに改悪されて、常用サイトを変更した経緯もある。映画サイト
の機能を当てにせず、専用のエクセルで候補作を管理することにして、感想
は自前のブログ『脱兎見!東京キネマ』に書き込み続けている。特にシェア
は無用だと思う。
なかなかいいぞと思って観に行っても、とんでもない不満作であることも
ある。それでも自分には何が不満なのかを知るためにも、途中で映画館を出
たりはしないで観続ける。周囲の人々の反応を観察したり、周囲の人々の鑑
賞の動機を想像したり、ハズレでもやることは色々ある。2008年以来月二作
以上劇場で観ることにして15年。アップした記事は500を超える。制作者
の労苦を想いかなり甘く判定してもハズレは半分ぐらいある。
ネットの記事で今時の若者の関係性を生々しく描くといった煽りが気にな
って、TVerで観ることにしてみたドラマ『こういうのがいい』で、主人公の
若い男女は恋愛相手の価値観に合わせて振舞うことを繰り返して疲れ果てた
ときに巡り合う。友達でもなく、恋人でもなく、セフレでもなければ、幼馴
染でもない。互いの好きを尊重できる部分でのみ時間を共にする。セックス
も好きで気が向いた時に二人で耽る。彼らはこの関係をフリーダムなフレン
ドで「フリフレ」と呼び、どちらかに恋人ができたら解消する関係という。
原作コミックでもそうであるのか分からないが、二人とも何かの葛藤や焦
燥、嫉妬に苛まれることもなく、不安も不満もため込むことがないままに過
ごせている。なにやら現実離れし過ぎて、ドラマは明るく楽しい大人の御伽
噺に見えた。気になるのは英語タイトル。
「We like what we like.」。
私達が好きなものを私達は好む。二人は既に恋愛の失敗を重ねてこの関係
に至った。もう好きなものだけで暮らしていける。スマホを見ていても自分
の好きな情報だけをクラウドの彼方のAIが常にフィードしてくれるので、好
きなものばかりが眼前に現れる。しかし、仕事選びも会社選びも会社の人間
関係選びも好きなものだけフィードされはしない。
配信かDVDが楽しみだが、フリフレに未来はあるのか。ハズレに遭遇する
から自分の物差しが分かり、何かの学びが生じる。明暗・高低・濃淡…。望
ましくないものに縁取られて望ましいものは顕現するように私には思える。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』 橘玲 著
■『ダマシオ教授の教養としての「意識」…』アントニオ・ダマシオ 著
■『こういうのがいい 1 』 双龍 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第592話 『知足の事態』 (9月25日発行)
中小零細企業のICT活用が進みにくい要因にはいろいろありますが、その
中の認識されにくい主要因の一つにフォーカスしてみました。
(完)