242 古い探針

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経営コラム SOLID AS FAITH 第242号
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ご愛読ありがとうございます。第242話をお届けします。

 最近、残念に思ったことはウェンディーズの撤退です。昨年一杯で全店が消
えてなくなってしまいました。いつもの如く、半年以上の完成原稿のストック
がある当コラムですが、発行前に読み返してみると、いきなり麻布十番のウェ
ンディーズが登場している内容でした。いつか日本再進出を果たしてくれたら
と期待しております。

 今回お届けする242話『古い探針』は、質問の仕方をモチーフにしてみたも
のです。色々な人から指摘されるので、いつごろからこういう会話の仕方を身
につけたのだろうかと、自分なりにルーツを探ってみて、最近DVDボックス
を購入した刑事コロンボと、大学卒業時に英作文の教授から書いてもらった推
薦文に行き当たりました。読者の皆様には学びがあまり存在しない内容かもし
れませんが、お楽しみ戴けましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その242:古い探針

 麻布十番のウェンディーズの二階席に座って、一番大きなカップのチリにス
プーンを刺す。根っからの甘党の私が、チリを食べるようになったのは、間違
いなく、子供の頃大好きだった『刑事コロンボ』の影響の一つだと思う。最初
はテレビシリーズからよく観るようになり、小説を読むようになった。小遣い
をためて40冊近くを買った。コロンボが皿から啜るチリに初めて遭遇したのは、
上京してからのことだった。
 
 ロス市警殺人課のコロンボが対峙する殺人犯は、全員例外なく富も名声もある
人々。全員が計画的に殺人を遂行し、それを覆い隠そうとする。私がロスのユ
ニバーサル・スタジオで実物を見たオンボロのプジョーに乗って、犯人の豪邸
に現れ、薄汚いコートを脱ぎもせず、臭い煙を安葉巻から立ち上らせ、如何に
も愚劣な風体で現場を嗅ぎ回る。見つけた小さな矛盾点について、犯人本人に
「意見」を尋ね、「気になると、どうしても眠れなくなっちゃうタチなので」
などと、執拗に犯人の計画の綻びを追及する。「じゃあ、失礼します」と立ち
去ろうとしてから、二度三度と引き返しては、犯人に意見を求める。

「何かの専門分野があるコンサルタントと言う訳でもないですし。診断士でも
診断なんかしたこともないですし。で、分からないことだらけなので、手始め
に伺いますが、御社のお客さんは、なんで星の数ほど競合他社が居る中から、
御社を選び続けるんでしょうか。全然、分からないんですが。なるほど、接客
の質、ですか。私はお店に二度来ましたけど、名前も顔も覚えて貰っていない
ようですが。とすると、常連客には何か別の魅力があるんですねぇ。何でしょ
うか。気になりますね」。

 地方都市で弁当屋を数店経営する社長に、会って二度目でいきなり言い放つ
私を横に見て、連れの会計士は仰け反らんばかりに驚いていた。帰途にその話
題になったので、弟子などからは「『刑事コロンボ』アプローチ」と呼ばれて
いると笑って応えた。

 自分の略歴をまとめるために、或る日、大学の卒業証書などを久しぶりに引
っ張り出して見た。英作文のクラスで長文レポートの構成方法や表現を細かく
指導してくれたパケット教授が、「就職口が決まっていないらしいから、どこ
にでも出せるように、僕が知る中で君の一番の長所をまとめておいた」と書い
てくれた推薦文が出てきた。

Masato distinguished himself as an excellent student: he attended
class regularly, asked probing questions and submitted all assignments
of high quality on time.

 幸い『刑事コロンボ』に学んだ筈の実力ある人々へのアプローチ方法は、何
とか使いこなせているようなので、この有難い推薦状で種明かしらしきことを
しないで済んでいる。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

弊社サイトに、長大ページ登場!

ご協力戴いていたサイトで掲示していた
「提携IC(独立業務請負人)募集」の広告が、
先方サイトのページの表示不具合の復旧の目処が立たないとのことなので、
内容を修正して、自社サイトに引越しして参りました。

名づけて
「業務系対人コミュニケーション企画請負業」
 事業者育成プログラムのご案内。

今まで、提携ICとして呼び習わしておりましたが、
弊社の事業のあり方を期待して下さっているお客様を紹介する都合上、
弊社の事業ノウハウを集中して学んで戴く必要がありました。
しかし、「提携IC」の言葉には、そのニュアンスがないため、
誤解が生じる場合もございました。

そこで、徒弟型で集中的に、
同業他社が存在しない事業のノウハウを
原則無料で提供するプログラムとして、まとめてみました。

この事業の可能性や背景なども付随情報として盛り込んだところ、
かなりの長大なページになりました。
まだ少々推敲の余地はありますが、
ご関心のある方は、是非ご高覧賜りたくお願い申し上げます。

http://www.msi-group.org/MSI-Trade-Development.htm

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
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次号予告:
 第243話 『急ぐ誘い』 (3月10日発行) 
 今では検討さえ全くしなくなった「ソリアズの書籍化」。最近頂戴した編集
プロデューサーからの連絡で、検討依頼のあった出版の企画内容を伺いました。
その依頼の趣旨について考えたことをまとめてみたものです。ご期待下さい。

(完)