232 ミサイルの軌道

=================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第232号
=================================
ご愛読ありがとうございます。第232話をお届けします。

 もうすぐソリアズ創刊からまる10年となります。10周年記念特別号の文章
構成の作業を通して古い号などを読み返す機会が増え、自分でも忘れていた話
の展開が多々見つかります。10年の月日の長さを実感致します。

 PR欄にてご案内しておりますが、10周年記念特別号は、前編と後編の二回
に分けて、10月・11月の二月に跨ってお届けすることと致しました。『ソリア
ズ的オーナー経営者論概説』と題して、中小零細企業のオーナー経営者の視点
に迫ります。どうぞご期待下さい。

 今回の号は、久々に読み返した唐津一氏の著作の中の文章から、一般的なセ
ミナー型の研修と弊社が企画運営する勉強会との違いに関して考えたことをま
とめたものです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
=================================
その232:ミサイルの軌道

 外資系フィルムメーカーのマーケティング担当の職に未経験で就いたため、
転職の半年後、マーケティング協会主催の「プロダクト・マネージャー養成講
座」と題したセミナーに参加することとなった。今から15年ほど昔。半蔵門の
会場に入ると、自分よりも年上と思しき参加者が20名弱、スクール形式の席に
ついて開始を待っていた。
 
 講師は、先進のマーケティング体制で有名な花王のOBと言う人物。レジュ
メはあったがそっちのけで、プロダクト・マネージャー時代の苦労話を話し始
めた。彼が手掛けた有名新商品開発の経緯を、予定時間の半分を過ぎて、休憩
時間にまで食い込んでまで続けた。休憩明け、質問はないかと問うので、挙手
して意見を述べた。
「他の方々は、真剣にメモを取っていらっしゃって、既にプロダクト・マネー
ジャーの何たるかを知っての上で、参加されている様子です。しかし、このセ
ミナーのタイトルは、養成講座です。レジュメの項目の説明を期待して参加し
ました。私はプロダクト・マネージャーと言う職に就いたばかりなので、もっ
と基本から養成して戴きたいです」。

 昨年経営誌の特集のテーマが社内勉強会であると、弊社サイトに取材依頼が
舞い込んだ。飯田橋の先方オフィスに赴いて、私の勉強会の仕事を説明すると、
編集者は熱心に話に聞き入って下さり、的確な質問を幾つか重ねてから言う。
「そうすると、御社が企画を提供する勉強会とは専門講師がいない中で参加者
が主体性を持って、テーマとなっている事柄を最低限のファシリテーションに
基づいて勉強して行くということですね。勉強の内容の質の管理がかなり困難
ではないですか」。

 専門講師によるセミナーなどと異なり、連続ものの社内勉強会各回の具体的
な式次第も内容も決まっていない。行き着くべき所は経営者の希望でほぼ決ま
っている。あとは、参加者全員が目標レベルににじり寄るよう、臨機応変に運
営すればよい。編集者に説明をすると、理解できても想像が難しいようで、結
局、現場を見て戴くことにした。
 
 大好きな唐津一氏の著作『中国は日本を追い抜けない!』を休日に読み返し
てみる。ものづくりの現場で労働者の自発的努力が発現する日本の製造業の素
晴らしさを称える。
 
 大砲は命中させるために相手の移動や風の影響などを精緻に予測し計算する
必要があったという。それに対して、「正確に狙う」ことを放棄して、「適当
にねらっておいて、目標からはずれたら、何度でも修正すればよい」と発想を
転換した結果、誘導装置を搭載するミサイルが登場したという。マニュアルに
よるものづくりは大砲の如く。自発的努力を重ねる社員は誘導装置付のミサイ
ルの如くと説明される。命中率の高さにおいて、大砲はミサイルに敵わないと
の行を読んで、何か嬉しくなった。勉強会の誘導装置に磨きをかけようと思い
立った。
=================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
=================================
【MSIグループからのPR】

進む ソリアズ10周年記念特別号発行準備!
10周年記念号は、前編・後編の二部構成
題して『ソリアズ的オーナー経営者論概説』

前編:
9周年記念特別号、200話発行記念特別号でもお馴染みの
元弟子、市場真理子が大真面目に追及する…
ソリアズに登場する中小零細企業オーナー経営者像の研究結果。
10月末日発行!
※現在最終校正中

後編:
著者がソリアズ読者像に近くなりつつあると考える…
二人の若手中小零細企業経営者から教えて貰った
ソリアズの感想・印象をまとめて、ドバッとご紹介。
そして、ビジネス書などに溢れる大手企業経営論について、
周囲の中小零細企業経営者の一言コメント集。
通常号のテイストは勿論、いつもの●周年記念特別号の内容よりも、
さらに砕けたスタイルで、ソリアズ的中小零細企業経営者の視点をご紹介。
11月末日発行!
※現在本文構成中。

=================================
【MSIグループからの報告事項】

9月末発売予定の…
『人生を無駄にしない会社の選び方』
 新田龍著 日本実業出版社

この書籍の「おわりに」と題されたあとがきで、
弊社代表の名前が言及されています。

この書籍を執筆中の株式会社ヴィベアータの新田社長と
この書籍のメインテーマであるブラック企業について
意見交換を致しました。
新田社長から「全体の構成に関して多大なヒントを頂戴できた」と
謝辞を頂戴しました。

書籍の内容を伺い、原稿の一部を拝読したので、
ブラック企業と呼ばれる企業群の兆候を知ることになりました。
弊社クライアント企業経営者との雑談のネタにすると、
「それじゃあ、うちも間違いなくブラック企業だなぁ」と言われます。
クライアント企業社長が自らそのように言う以上、
弊社も間違いなく、一部ブラック企業支援企業と言うことになります。

意見交換の内容の一部は、
来年以降発行のソリアズのモチーフとなる予定です。ご期待下さい。
それまでは関連テーマを扱う既刊にてお楽しみ下さい。
第118話 『官軍のいきさつ』
http://tales.msi-group.org/?p=170

=================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず もうすぐ満10年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
※ ご注意!!
 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、弊社ブログにて発行状況をご確認の上、再登録をして下さい。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
=================================
次号予告:
 第233話 『笑みの浸透』 (10月10日発行) 
 昨年夏のシーズン一周まで嵌っていた、メンズカジュアルのブランド「ル
パート」。そのブランドとの出会いから、仕事の中の面白さの見出し方につい
て考えてみました。ご期待下さい。

(完)