230 昨日の感動

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経営コラム SOLID AS FAITH 第230号
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ご愛読ありがとうございます。第230話をお届けします。

 あっと言う間に、お盆休みも過ぎ、私の好きな暑い夏も残暑のみとなりまし
た。皆様如何お過ごしでしょうか。疲れは溜まりがちですが、暑いとハイにな
りやすい私は、だらだらと汗を流しながら、背広の上着を着たまま外を歩き、
電車で人を見たり、ツリ広告を見たりしながら、当コラムのネタを考えたりし
ています。べたべたになってマンションに戻ってシャワーを浴びて、冷房をあ
まり効かさない部屋で提案書や企画書を打ったりすると、ノリノリになってき
ます。(言い方が古いですが)ハードロックがBGMだと、ノリも一入です。
そんな季節が再び終わりに近づくのは、非常に残念です。

 久々の三話連続のシリーズものの発行を終えて、今回の号は、顧客満足を維
持し続けることの難しさについて考えてみました。単純な接客・接遇の充実だ
けでも店舗を運営している方々の苦労は、(自分の所作に全く自信のない私に
は、)想像を絶するほどですが、その先の顧客満足のあり方を一般の店舗も、
当り前に模索しなくてはならない時代に、到達しつつあるように感じています。
ご一緒に考え廻らせて戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待
ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その230:昨日の感動

 京浜東北線のホームで肩を叩く者がいるので、振り返るとクライアント担当
者だった。「凄い偶然ですね。気付いたときに声をかけたんですが、市川さん
は何かに見入ってて、全然気付かなかったんで、来ちゃいましたよ」と、彼は
言い、私が見ていたiPODの画面を覗き込む。「これ、映画の画像ですよね。
画像を取り込んで編集して、iPODに移しているんですか。凄いなぁ」と驚
く。「凄いですかねぇ」と私は訝る。
 
 iPODに曲を取り込む方法は、人から教えて貰った。レコードのCD化を、
DJを副業にしている友人に頼んだ。写真を取り込めることに気付き、さらに、
画像の取り込みも始めた。最初にできるようになったのは、ケーブルテレビの
歌番組のPVの取り込み。そのために多目的の画像処理ソフトを購入した。音
楽や映画のDVDからの画像も取り込め、デジカメの動画も編集して格納でき
るようになった。新たなことができるようになると、地平線が広がるように感
じる。面白い。コレクションを見聞きする時間が日常の一部となってくる。当
り前にそこにあるものを再生して見聞きするようになる。
 
 クライアントのパチンコ店を訪問すると、幹部が競合他社の大型店の増床改
装を憂いている。大型店はパチンコもスロットも機種構成がさらに充実する上
に、各々の機種の台数も増えて魅力のある店になると言う。「なるほど、ディ
ズニーランドみたいですね」と私が言うと、「そうですね。なんでもありです
から」と幹部は頷く。
 
 首を振って、私は説明する。
「いえ。私が言っているのは、ハードで目新しさを出すと言うことですよ。デ
ィズニーランドができて、イクスピアリが付け加わって、シーができて、ホテ
ルが増えて、リゾートと呼ぶようになって、今度は電車までできて。順番がよ
く分かりませんが、新しいものが連発ですよね。
 日本の消費者の飽きの来る速さは世界随一なんだそうですよ。埋め立ても進
めているとか聞きますから、何百年後までディズニーランドがあったら、LA
か香港のディズニーランドと地続きになるかもしれませんよ。ソフトは頭の勝
負で新しいものを提供できますが、ハードは基本的にカネが続けられるかが問
題になっちゃうでしょ。さっきの増床する競合店さんも、そういう勝負に打っ
て出て続くんですかねぇ」。
 
 自販機でミルクティーのボタンを押して、ミルクティーが普通に出てくる。
当り前で不満はないが、満足もなければ感動もない。ハードによるサービス提
供に顧客が飽きるのは時間の問題で、システム構築でも「システムは稼働した
瞬間から陳腐化を始める」のは、新技術の発達よりもユーザーの認識の慣れの
方が主要因だと思えてならない。
 
 パチンコ店での仕事を終えて駅のコンコースを歩いていると、企業広告の看
板が目に飛び込んできた。「昨日のすごいを明日の普通に」。この企業のキャッ
チフレーズであるらしい。月に複数回になった新台入替が運用上の負担になっ
ているパチンコ店店長の方々には苦々しい言葉だろうと思い、立ち止まってメ
モを取った。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

迫るソリアズ10周年。
記念号を鋭意準備中です。
各種取材などを積み重ね、10月末日の発行を目指しています。

テーマは、創刊以来一貫してソリアズに描かれている
「中小零細企業を率いるオーナー社長のモデル像の追求!」

「そんなこと言う社長って本当に居るんですか」
「ソリアズに出てくる社長って、ひねくれモンばかりですよね」
「社長がそんなレベルなら、そんな会社すぐつぶれちゃうでしょ」
「流石にホステスの股間に触りながら資金繰りを考えないでしょ(※)」
 色々読者や知人から言われて参りましたが…

居ます!
間違いなく居ます!
それも、石を投げれば必ず当たるほどに。

それを私、市川が声を大にして言っても信憑性が乏しいので、
再び第三者企画をメインにして、10周年に臨むことにしました。
ご期待下さい。

※第46話『陶酔の営み』参照
http://tales.msi-group.org/?p=87
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず もうすぐ満10年。

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次号予告:
 第231話 『スポットの褪色』 (9月10日発行) 
 以前住んでいた世田谷区のとある商店街を今でも数ヶ月に一度訪れてみます。
変わらないものが多く残っているその商店街を見て考えたことをまとめてみま
した。ドーナッツ化現象も進みに進んだ感のある昨今、ご一緒に考えてみて戴
きたいテーマです。

(完)