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経営コラム SOLID AS FAITH 第227号
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ご愛読ありがとうございます。第227話をお届けします。
考えてみたら、一度もソリアズのネタにしたことのないままに来たのですが、
下手の横好きと言うほどでさえないままに、18歳の頃からダンスを習っていま
す。猫背の上に背骨が歪み易く、高校生の頃から整体に通っていました。高校
卒業と共に、一応転勤族になり、信頼できる整体院に通うことが難しくなった
ため、予防のために薦められて始めました。運動嫌いで、当然ながら「運動音
痴」ですので、曲に合わせて抵抗感少なく続けられるようにと考えた結果です。
曲に合わせて運動というのも考え物で、基本はハードロック系の曲が好きな
ので、クラシックは勿論、社交ダンスなども、前述のような当初の動機を満た
しません。結果的に消去法で残ったのが、当時、その言葉さえ珍しかった「ジ
ャズダンス」でした。プロを目指そうという気もないどころか、上手くなろう
とさえあまり思っていませんので、寧ろ、振りの創作の余地がある変則的なラ
ジオ体操的な認識のままに、今に至ります。
今回の号は、昨年から東京で始まった新たなレッスンがネタになっています。
どうせやるなら、自分がやってみたい振りを習った方がいいだろうと昨年考え
ました。難易度の高い振りを、この向上心の薄い素人に教えるタスクを引き受
けて下さる方を探したところから、めぐり巡って、プロの高名な振付師の先生
に辿り着くこととなりました。普通のダンススタジオとは違う教授の方法論は、
私の仕事のあり方にも気付きを多々齎すものでしたので、3話のシリーズにま
とめてお届けすることとしました。
シリーズ『夢中夢』の第一話は、『面白い仕事』という、テーマそのままの
タイトルです。お楽しみ戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお
待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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本文中に登場する映画『ユメ十夜』は、夏目漱石の『夢十夜』を原作とする
作品です。著者が見た十の夢の話が、各々短編にまとめられた名作です。第六
夜は、運慶が仁王像を彫る場面に出くわした夢についてのもので、当コラムで
は、第49話『コアの形成』に、夢の中の漱石の後日譚が僅かに登場します。
また、映画『ユメ十夜』第六夜のダンスシーンは、その異色さ故に、各種サ
イトなどでも紹介されているようですので、宜しければご覧下さい。
●第49話『コアの形成』
http://tales.msi-group.org/?p=90
●映画『ユメ十夜』第六夜ダンスシーンは、
以下のサイトでは、「techno unkei」として紹介されています。
http://dancemovie.seesaa.net/
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その227:面白い仕事 =夢中夢(1)=
高校時代から背骨が悪く、整体に定期的に通っていた。高校を卒業し、慣れ
ない配属先の町に赴くとき、整体の先生は「背筋を柔軟にするような運動を常
時続けられると大分良くなると思うんだけどねぇ」と私に言った。運動は全く
苦手なので、音楽に合わせてなら、多少は続けやすいかと思い立ったのが、ジ
ャズダンスを習うきっかけだった。
以降、住む場所を変えるたびに、近所のスタジオなどを探して、ジャズダン
スのレッスンを受け続けた。レッスンに励むでもなく、センスがよい訳でもな
い。ダンスが上手くなった自覚はないが、ダンス以外にも、フィギュア・スケ
ートや新体操など、バレエの基本が取り込まれた競技を見る目が養えたのが最
大の収穫かもしれない。
ジャズダンスのスタジオの多くは、毎月の振りを週一などのレッスンの中で
積み上げて行き、月末に完成に至る。その間に一度でも休むと、フリが繋がら
なくなって苦労する。仕事が忙しくなると、付いていけなるために、丸ごと一
ヶ月休む羽目になるのが困りものだった。そんな時、映画『ユメ十夜』を観た。
話の展開が好きで、ソリアズのネタにしたこともある第六夜は、松尾スズキの
監督で、運慶の仁王を彫る作業は、異様なダンスによって表現されていた。こ
の振りをマスターしたら楽しいだろうと想像した。
行きつけの飲み屋のママが、「昔、うちの店でアルバイトをしていた娘が、
プロの振付師になっているから、聞いてみてやろうか」と、先生に連絡を取っ
てくれた。伺って要望を言うと、「つまり、持ち込まれた振りを再構成して、
市川さんがマスターできるように指導すると言う個人レッスンと言うことね」
と、上海での公演指導から戻ったばかりの先生は言った。後日、皆が聞いて驚
くような廉価で、先生はこの仕事を引き受けてくれた。
「こんな依頼は聞いたことがないでしょ。市川さんは、面白いことを言い出す
よね。面白い仕事は、何が何でも請けなきゃ駄目でしょ、プロとして」と先生
は笑った。
サラリーマン時代に自社名を冠した後継者育成セミナーを企画して講師を依
頼して回ったが、企画内容を批判するコンサルタントにしか巡り合えず、苦慮
したことがある。当時は、斬新なファシリテーションの手法を応用して、「答
えを教えないセミナー」をコンセプトとしたことに批判が集中した。最終的に
引き受けて下さった先生は、企画書を一瞥して、「訳が分からん」と言った。
駄目かと諦めかけた瞬間、先生は関西弁で続けた。
「市川さん。話は最後まで聞くもんや。訳が分からん話でも、アンタはワシに
やらせたいんやろ。ネクタイでも、人に選んでもらわないと、いつも似たよう
な柄になるやろ。自分で自分の枠を壊すのはしんどいからのう。勝負したいん
なら、付き合ってもええで。この変な「教えない先生」の役回り。おもしろい
から、引き受けてもええで」。
「本格的鍼灸の先生の販促企画ですか。訳分かりませんね。けど、そういうの
が勉強になりますから、勿論、話を聞きますよ」と私は、数日前に知人に言っ
た。奇異な依頼、面白い仕事の背景に存在する、知られざるニーズには抗しが
たい魅力がある。
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次号予告:
第228話 『暫定関心事』 = 夢中夢(2)= (7月25日発行)
若者向けの仕事選びの書籍などには、「好きをしごとにする」や、「関心が
持てることが仕事の条件」などとよく書かれています。もしそれが本当なら、
クライアントの新卒社員は、何でも好きになったり、何にでも関心を持てるよ
うになるべきでしょう。シリーズの第二弾は、「好きになれる」と言う能力、
「関心を持てる」と言う能力について考えてみました。
(完)