225 燎原抑留法

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経営コラム SOLID AS FAITH 第225号
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ご愛読ありがとうございます。第225話をお届けします。

 早くも梅雨の話をニュースなどで耳にするようになりました。乾燥を好むイ
ンフルエンザ・ウィルスも、大分行き場がなくなることだろうと、しめしめと
思っていたら、梅雨を待たず、あっと言う間に巷間から新型インフルエンザと
言う言葉が消えて行きつつあるように見えます。皆様は如何お過ごしでしょう
か。

 不景気や不況と言われる現象は、昨年末から年初にかけての状態から多少持
ち直したように言われています。今回の号は、不況下における小規模小売店の
経営のあり方について考えてみました。お楽しみ戴けましたら幸いです。また、
PR欄では前号に引き続き、少々気の早い10周年記念号の企画についてのご案
内をしております。合わせてご一読賜りたく存じます。本文に対するご意見・
ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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訂正:
 5月10日発行の第223話『不合理な難題』の本文中において、「診療内科医」
と言う誤記がありました。「心療内科医」の誤りです。大変失礼致しました。
※弊社ブログにおいては該当箇所を訂正済みです。
 http://tales.msi-group.org/?p=329
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その225:燎原抑留法

 ペレストロイカ真最中のソビエト連邦の三主要都市を巡る14日間の観光旅
行に出かけた。小樽から巨大な客船に乗ってナホトカに着き、ハバロフスクま
で鉄路で北上する。そして空路で最初の目的地キエフに向かう。初任給額三
か月分をためにためての、初めての海外旅行の8時間を越えるアエロフロート
搭乗は、当時の私には最長滞空記録だった。

 飛んでいる最中に窓から見下ろすと、地上からモクモクと雲が湧き出るよう
に見えた。二十分後に再び見ても地上から白いものが湧き上がっている。それ
は地上から立ち上る白煙で、夏のシベリアの広大な野火だった。後日現地のニ
ュースで知った直径約400キロの延焼地域は、毎夏の野火の中でも最大級との
ことだった。
「この時期、乾燥しているからよくあるんだよ。抑留されていた頃は、消火に
当たらされたもんだ」と通路側の席の老人が窓を覗き込んで言う。

 地獄の業火の如き野火をどうやって消火するのか。訝る私に彼は続ける。
「一日か二日で終わるよ。抑留者の施設は、あちこちに点在しているから、自
分の施設の周囲の草や木を切り倒して、水を撒くだけだから。まあまあの距離
の範囲を、火が燃え移らないようにして、後は施設の窓から焔を眺めていれば
いい。やるべきことをやったら火事に巻き込まれることはないから、後は見て
いるだけしかできないのさ」。

 靴販売のFCオーナー会社の役員を勤める関係で靴店経営者の集まる場に赴
いてみると、本部のプロモーションが後手に回っていて、若年層のブランド認
知度は最近下がる一方だと教えられる。おまけに不況が追い討ちして、売れ行
きが下がった店が多いらしい。不況で財布の紐が堅くなって、どうしようもな
いと言う。

 広告代理店勤務の友人に、「ブランド認知度調査は予算によって調査の規模
が大きく異なる」と言われたのを思い出す。ブランドを認知していない若者は
どこにいるのか。人々が裸足で歩いている訳もない。金の使い道の選択眼が厳
しくなったのなら、それに見合う付加価値を用意すればよいとマーケティング
のビジネス本は説く。不景気などは購買者の滅入る気持ちの集合体だと言う有
名コンサルタントの定義に納得したこともある。

「零細事業者が生きる隙間は全国視点では見つからない。自分の周囲だけ、自
分の商圏だけでの話なら、全然問題なくブランド認知を挙げることも、マイン
ドシェアの獲得も、日々のトークやPOPで、幾らでもできる筈でしょ」と私
を役員にした社長に告げる。

 半径数百キロ単位の燎原の中で、生き抜く手立ては至極単純だった。急激な
空調で霧がかかった機内の湿った空気の中で、抑留体験者の老人は、驚く私に
「自分達が助かることが先なんだから、当たり前でしょ」と微笑みながら言っ
た。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

まだ、先といえば先なのですが…。
今年10月末日で、当コラム『経営コラム SOLID AS FAITH』は、
とうとう、創刊十周年を迎えます。

何とはなしに、記念号は何を書こうかなぁと、
考え始めてみました。
大抵のやりたい企画は、今までの9回の記念号でやりつくしています。

6月末ぐらいまでは、
ゆっくり企画を考えてみようと思っております。

そこで、
【ソリアズ創刊十周年特別記念号 構成企画大募集】

ということで、
何か企画案などがございましたら、
アイディア・レベルで全く構いませんので、
メールにてご一報戴ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org

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弊社代表のオリジナルブログが大幅更改!!
MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

今まで、一覧性がイマイチで、
閲覧者の方々には、ご不便をかけて参りましたが、
ブログの立上げを支援・指導戴いている方々のご尽力で
一覧性が大幅に向上いたしました。

●トップページには最新の記事を全文掲示し…、
●その他の記事は…
 カレンダーや、カテゴリータイトル、そして、含まれる言葉など、
 各種の方法で閲覧できるようになりました。
●タイトルの一覧も、従来の一ページ5タイトルから、一気に増量。

普通のブログを読みなれている方々から見ても、
一覧性、操作性が向上し、
やっと並みのブログに近づいたものと思います。
好評の映画評も50作を超えました。
是非、ご覧下さい。

注意:
 今回のブログの大幅更改の結果、過去、ソリアズの本文表示などで使用され
ていたURLのうち、無効になっているものが発生しております。その場合に
は、大変申し訳ありませんが、該当ページの新URLをご確認戴くこととなり
ます。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず もうすぐ満10年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
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です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、弊社ブログにて発行状況をご確認の上、再登録をして下さい。
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次号予告:
 第226話 『天国の蛹』 (6月25日発行) 
 昨年のクリスマスイブの晩に、昨年最後の請求書を投函しに、新宿西口の郵
便局に深夜に赴いた際に見た風景と、その前後に読んでいた書籍の内容を絡め
て考えたことをまとめてみました。面白い仕上がりになりました。ご期待下さい。

(完)