『罪とか罰とか』

新宿の伊勢丹近くの映画館で見てきました。なんとなく、タイトルが気になったのが、関心を持ったきっかけでしたが、出演者のリストを見て、奥菜恵と佐藤江梨子が出ているとなると、これは見るしかないだろうと決意しました。

佐藤江梨子はこのブログでも、再三、好きな顔のタイプと言うことを言っていて、PCの壁紙になったりしていますが、実は、奥菜恵も『月刊 奥菜恵』の美しい写真がかなり気に入っていて、スキャナで取り込んで、PCの壁紙などにしています。こんなふうに好きな奥菜恵ですが、あまり役者としてみたことがありません。『弟切草』や『シャッター』など、あまり好みではないホラー系が多いからです。(佐藤江梨子も同じ理由で『口裂け女』を観ていませんが)そういう意味で、この映画は、稀有な組み合わせの実現で、かなり前から行こうと思っていたものです。

奥菜恵のキレキャラはかなり気に入りました。結構、名演技です。コンビニ強盗までやってくれます。佐藤江梨子ものっけからマンションの高い階のベランダから路上に落ちてきて死んでしまう役です。おまけに映画途中でそこに至る場面が出てきますが、セックスの後に絞殺されかけて、息を吹き返し、絞殺魔に対して強烈な反撃に出て、逆に殺しそうな勢いでした。しまいにはチェーン・ソーまで持ち出すキレっぷりです。主演だった『腑抜けども、悲しみの…』では、イマイチの存在感ではありましたが、今回は、出演時間の長さに比べて、印象は妙に濃いキャラです。佐藤江梨子が絞殺されかけ逆襲に打って出るマンションの一室の隣の部屋では、奥菜恵が仲間とダラダラとコンビニ強盗の計画を進めるというシュールな展開です。

この二人のキレキャラをセットで見られるだけでも、DVDの買いは決定なのですが、他にも、高橋ひとみや、麻生久美子、(結局、少々ながらホラーも観ているのですが)『サイレン』で観た市川由衣など、ちょいと気になる人々がかなりの存在感で登場します。しかし、もっとも見物なのはこの映画の主人公です。ルックスで言うと清純派系の成海璃子のキャラ設定がハチャメチャです。

「高校時代に付き合っていた警察官を目指すカレシが殺人の衝動を抑えられず罪を犯しているのに、『別れるのは嫌だ。私はあなたの見方だから、黙ってれば良いじゃない』と言って、自首しないように押し留め、カレシに罪を重ねさせて、自分も殺されかけて別れることになり、それでもカレシが忘れられなくて携帯の待ち受けには入れておき、売れないアイドルになるものの、グラビアが上下逆に印刷されて切れて雑誌を万引きしてつかまり、その引き換えに警察の一日署長を務めることになったら、元カレの上司になってしまう」と言うキャラです。

さらに、主人公が勤める一日警察署長は、単なるお飾りではありません。本当に執行権限を強烈に持っているのです。(結果、グラビアの印刷を上下を間違った担当者は後に何の罪の明示もなく、主人公の命令によって身柄を拘束されています)で、警察の方では、元カレが警察官になってからも殺人を繰り返していることを十分知っていて、揉み消しを続けていますし、主人公は、自分よりもいけてない同時にスカウトされた友達が官能型のアイドルにのし上がって行ったため、幻影を見るようになっていて、彼女の行くいたるところに、水着姿でけだるい顔をしたオネェチャンが出てきます。(当然、ほかの人には見えていないということですが…)

このハチャメチャな設定を、どんどん推し進めるこの作品には非常に好感が持てます。面白いです。

偶然の一致で興味深かったのは、つい先日見た『相棒シリーズ 鑑識・深沢守の…』の主人公が、この作品でもかなり目立つ警官の役をしています。また、瞑想に耽る謎のデコトラ同乗者の女を演じる麻生久美子は、この作品の上映前の予告で、『インスタント沼』なる何やら意味不明な映画の主演として紹介され、さらに劇場内のチラシでは、『ウルトラミラクルラブストーリー』と言う映画でも準主役級であることが分ります。随分と同時にあちこちで同じ人を見るものだと思いました。