『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』

新しくできた新宿ピカデリーに初めて行きまして、結構遅い回に滑り込みで見てきました。
なんか凄い雰囲気の映画館でしたが、それよりもすごいのは映画そのものです。

国際会議の状況やら、「北の国」の首領様の乱入やらが、どこか以前渋谷の映画館で見て、気に入って、Tシャツまで買った『日本以外全部沈没』と似ていると思ったら、同じ監督さんでした。パンフを見ると、映画館では見逃して、DVDを入手した怪作『ヅラ刑事』も同じ監督でした。

この馬鹿らしい話をそれなりに名の通った人々(勿論、極めつけは、世界の北野武ではなくて、ビートたけし演じる「タケ魔人」ですが)が、やたら真剣に取り組んでいることと、過去の特撮モノへのオマージュの連発が、素晴らしい映画です。特撮好きや当時の怪獣モノの映画好きの著名人もバンバン出演します。みうらじゅんはもとより、故水野晴郎やなべやかんまで登場します。

ミニ情報番組『ナッキーパンチ』に出ていた頃から好きで、『花より男子』の憎まれ役は戴けなかった加藤夏希の怪演が私にとっては最大の収穫かもしれません。タケ魔人をよみがえらせるための大地の祈りとか言う、コマネチの振りをふんだんに取り入れ、「ネチコマ、ネチコマ、ネチコマ」と執拗に繰り返す踊りを、「タケ魔人様ぁ」とか言いながら真顔で続けるナッキーは大物です。さすが、映画史上初の女性仮面ライダーを演じただけはあります。相手役は、これまた、仮面ライダーネクストでV3役、仮面ライダーカブトでドレイク役をした仮面ライダーづいているお兄さんが演じているのも、組み合わせの妙です。彼らの役どころはカメラマンとリポーターですが、これは当然、『ウルトラQ』へのオマージュと思われます。(と書きながらパンフをめくったら、そう書いてありました。)

その他にも、その手のオマージュは満載です。大体にして配役が凄いです。往年の『三大怪獣…』とか言う、私も子供の頃に見た映画に出ていた役者を全員配置してますし、その三人は、ズバリ、ウルトラマンのハヤタと、ウルトラマンの着ぐるみに入っていて、後にウルトラセブンのアマギで、さらにもう一人はGメン75のGメンです。おまけに、ハヤタがポケットから取り出すマイクはベータカプセルそっくりに作られています。防衛軍はTDFとテントにまででかでかと書いてくれていますし、「北の国」のミサイル発射基地では、「フォースゲートオープン」と何度も言ってくれます(ただし、日本語(英語?)ではありませんが)。

村人の踊りの太鼓を叩く男は、キャプテンウルトラですし。オリジナルギララの役者さんも出ています。どうだ気づいたかとばかりにこの手のネタを盛り込んであります。一番笑ったのは、タケ魔人の像が傘と消火器を持っていることです。凄いです。良くぞここまでやってくれましたと言う感じで、本当にやらかしてくれました。
※「危機一発」の表記も、007へのオマージュでしょうか。

集中して何度も見るほどのプロットではありませんが、ネチコマ!を執拗に繰り返す村人の踊り(見ようによっては商業化されつくしたアイヌやウィルタの伝統儀式を連想させ、北海道が舞台であることを考えると、ちょいと嫌な感じもしますが)をBGVで掛けっぱなしておく目的だけでも、DVDは十分買う価値があります。