永作博美と蒼井優…、と来たら、見に行かないわけには行かないと、渋谷の映画館に行ってきました。
二人がセットで出てくる映画館やギャラリーのシーン。見て嬉しいです。特にファミレスでの二人の会話が私にとっては最高の場面でした。「モラルとしてどうよ」と問う蒼井優と、「好きになって一度触っちゃってもずっと触っているわけにいかないからなぁ」のようなことを、だるく、しかし、平然と言う永作博美。最高です。
が、全体としては何か好きになれない映画でした。舞台が私が好きではない中途半端な田舎であるためとか、いろんな要素はあると思うのですが、詰まる所、パンフとかにも書かれている、「ゆるくてせつない」映画と言う流れが嫌いなんだと思います。
蒼井優が出ている映画で、(少なくとも私から見たら)同じようなジャンルの映画で、『ハチミツとクローバー』がありますが、こちらはかなり好感が持てました。多分、向こうには、ハチャメチャな行動に出る人々の面白さや、芸術との向き合いと言うことでの葛藤やら、強烈に表現される片思い三角関係やら、ゆるいけど濃い要素が多々あったからだと思われます。それでいて、映画は最後に、ゆるいなかのダラダラした流れの中で、それなりの節目に至り、終わります。敢えて言えば、十分予想の範囲内ですが、収まるところに収まった感があります。
こうして対比してみて、『人のセックスを笑うな』は、何が嫌なのかがやっと分かります。後から考えると、それは、原作を新宿の大手書店でほんの20分ぐらいで流し読みした時の、「ふーん。こう言う話なんだぁ」と言うだけの感想を持ったときから始まっていたようにも、思えます。
で、せめて、永作博美が演じるユリは、旦那といなくなったまま終わるって言うのは止めてほしかったなとか思ったりするのです。再び、あの田舎の町の現実の中に戻ってきて尚、かろやかにあの学生を含め、好きになった相手を翻弄していくところを見てみたいと思うからです。DVDは買いませんね。