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経営コラム SOLID AS FAITH 第531号
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ご愛読ありがとうございます。第531話をお届けします。
実質的な宇露戦争が続いています。ウクライナは日本の二倍近くの面積が
ありますから、軍により全体を制圧することは不可能です。ロシア寄りの政
権を成立させるのがロシアの望む結果であると言われています。このまま核
使用まで含む全面戦争を恐れて欧米が手出しをしなければ、ロシアの目的は
達成できる可能性が高いように思われます。
しかし、ベトナムやアフガニスタン、イラク、さらに、多くのアフリカ諸
国での近代戦において、執拗なゲリラ戦は超大国の軍隊を劇的に損耗させる
ことに成功しています。おまけに、半年を待たず、ロシアを包囲する経済制
裁は大きな効果を生むでしょうから、ロシアの政体自体がかなり危うくなる
ことは間違いないものと思われます。
既に経済が大きく減速し、国内の不満が高まっている中国では共産党も国
民も固唾を飲んで、宇露戦争の行く末を見つめていることと思います。弊社
代表の市川は20歳の時に当時のソヴィエト連邦を初めての海外旅行で訪れ、
最初の数日滞在したのがキエフでした。メインストリート沿いの石造りの建
物などはその頃とあまり変わっていないようで、市川の宿泊していたホテル
のあった通りらしき映像も時々ニュースに登場します。市川もさまざまな意
味で、ことの顛末を見つめています。
通称武漢ウイルスが単なる病気の流行ではなく、人類全体を同時に襲った
多分初めての災厄とされて、恐怖心や妄信、同調圧力などによって不必要な
までの社会の変化をもたらしたのに続き、今回の実質的な宇露戦争も、所謂
西側諸国とその対抗勢力の関係を新たな状態へと遷移させることと思います。
通称武漢ウイルスの流行以来の世界のブロック経済化がさらに進むことによ
って、国内の中小零細企業の経営環境も“液状化”するものと思われます。
中小零細企業に本来備わっている機動性という特質を存分に発揮して事業を
伸ばすチャンスが到来したと考えるべきなのだろうと市川は考えています。
今号は『やっつけ仕事』というタイトルの話をお届けします。このタイト
ルは第214話『積木遊び』に続いて、椎名林檎の曲名から取ったものです。
(弊社代表の市川の好きな初期の椎名林檎の曲の中でもベスト5に入る曲で
す。)『やっつけ仕事』では、オーナー経営者の生活の中における仕事の位
置づけについて実際の事例から考えてみました。ご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その531:やっつけ仕事
「その社長はオツムが弱くて、自分の作話に気が付いていないだけなんじゃ
ないの」。
私が笑って言うと、自分の意見を丸ごと否定された就活中の彼は、怒る以
前に私の意図を汲みかねて呆気に取られていた。彼によると、優れた経営者
はワークとライフをきちんと分けることで成功者への道を歩んだのだという。
ほぼ間違いなく原因と結果が逆だ。
親から譲られたのか自分で我武者羅に稼いだのか。優秀な経営者は既にそ
れなりの資産を持っている。資産があれば普通は運用する。経営者相手のフ
ァンド会社がクライアントだったことがある。そこの社長は「1口1億円の
ファンドで10%リターンを提供するのは最低ライン。それを割るようだとす
ぐにお客の社長達が逃げる」と言っていた。余剰資金1億円を10%で運用した
ら、毎年1000万円が労せず手に入る。そして再投資で増え続ける。
一旦事業が軌道に乗ると、商品やサービスの質は短期的には安定する。お
客様も常連の比率が増え売上も安定する。既に資産が資産を生んでいる上に、
無理して不慣れな仕事をしたり、誰かに平身低頭で営業したりしなくても事
業も金を生み続ける。仕事量は好き放題にコントロールできるだろう。類は
友を呼ぶのでこう言った経営者の周囲にはご同輩が多数存在する。趣味の時
間も飲み会の時間も、実質的に仕事情報の交換ができる。単なる情報交換の
みならず、コネづくりも今後の仕事の根回しもこういった場で行なわれやす
い。
「それ、ホントにばれないんですか」と、事務所でトレーナーに着替えて深
夜のバイトに向かうパチンコ店のオーナー経営者に私は声をかけた。彼は会
社にあまり現れない。時々会って雑談をする際には、メールでアポ設定をき
ちんと行なう。この日は珍しく夕方に出社して書類整理をしてからバイトに
出かけるという。
彼のバイトは深夜の店舗清掃。都内ならどこでもバリバリ車を運転して移
動できると応募したら、若者の車離れに悩む深夜の店舗清掃会社はあっさり
彼を採用したらしい。おまけに、彼はその強い立場を使って、清掃に行く店
舗をパチンコ店に限定してもらっている。 彼は幾つかほぼ休眠状態の法人
も持っているので、そのオーナー経営者を名乗ってパチンコ店経営について
は隠している。「資金繰りが辛くて、少しでも足しにしようと思って」と清
掃会社の面接官に伝えているらしい。メインの仕事が運転手なので、定期清
掃にでも入れば空き時間が生まれる。その間、競合他店の内情を具に観察で
きる。
「ばれない!ばれない!全然問題ナシ。夜にドライブができてさ、カネもそ
れなりにもらえてさ。おまけに業界他店のありとあらゆる情報を丸裸にでき
る。バイトが面白くて、自分の会社になんか行く気がなかなか起きないよな」
と彼は笑って事務所を出て行った。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
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「テンプレートの就業規則を使っていて、ずっと変更していない」など
自社の就業規則をわからないままにしている企業も少なくありません。
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『萬屋のもっと深く愛してい』第28回「ブロックチェーン(DAO)」
テーマ「ブロックチェーン」の最終回となる今回は、「DAO」について紹介
いたします。
前回取り上げた「スマート・コントラクト」は、あらかじめ設定されたルー
ルに従って、ブロックチェーン上の取引、もしくはブロックチェーン外から
取り込まれた情報をきっかけにして実行される仕組みだと説明しました。
会社におけるルールで考えてみると、「有給をきちんと消化させる」「残業
時間の上限を超えて働けないようにする」などがあります。守るべき規則が
さまざまあるなかで、個々の規則をスマート・コントラクト化して組織に取
り入れた結果、中間管理職の機能が代替され、中間管理職がほとんど不要に
なった組織を「DAO(Distributed Autonomous Organization)=分散型自律
組織」と呼びます。スマート・コントラクトの仕組みにより、自動で人を管
理する仕組みのある組織とも言えます。
例えば、遅刻した社員の賃金から、自動的に該当時間分の賃金を引く。残業
した社員がいれば、自動的に残業代を反映した賃金を自動で振り込む、など
が考えられます。
本来のDAOでは「ブロックチェーン技術による改竄できないスマート・コン
トラクトを用いること」が重視されていますが、中小企業ではDAOの「ルー
ルに基づく管理機能の自動化」が重要であり、改竄されないことそのものは
あまり重要ではありません。そのことから、中小企業ではDAO“風”の技術
活用が求められていると考えるべきです。
中小企業の多くは文鎮型組織であり、中間管理職が実質的にいない状態のた
め、経営者または一部の社員が中間管理職の役割を果たしています。ただで
さえ人手不足のなか、人件費の高い社長や一部の社員がExcelを睨んで、今
月の支払金額を計算し、いちいち振込作業をするなど、収益を生まない作業
に時間を大きく投じていることが分かります。それをDAO(風)の組織運営
を実現することで、ルールに従った業務を行なうバックオフィス業務を大き
く削減し、その分、収益に直結する業務に時間を充てることが可能となりま
す。結果として、生産性を大きく引上げた理想の中小組織運営が実現すると
考えられます。
このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『中田式ウルトラ・メンタル教本 …』 中田敦彦 著
■『おもてなし幻想』 マシュー・ディクソン 他著
■『大きな嘘の木の下で』 田中修治 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
第532話 『裸の王様』 (3月25日発行)
個々の人物が見たいものをAIが見せてくれる世の中になりました。その
事実を踏まえた中小零細企業のマーケティングを考えてみます。
(完)