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経営コラム SOLID AS FAITH 第184号
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ご愛読ありがとうございます。第184話をお届けします。
９月も終わりに近づき、今年も残すところ３ヶ月少々となってしまいました。
歳を重ねるごとに時の流れが速くなっていきます。寒さが大の苦手な私は、弊
社新宿拠点の初めての冬にはどのような室内（温度）環境になるのか、はらは
らしながら寒さ対策のシミュレーションをしております。
長い読者の方は既にご存知の通り、来月末に、当コラムは毎周年の特別記念
号を発行致します。今年は８周年特別記念号です。例年とは異なり、文章作成
を私が行なうことなく、おまけに寄稿文章をお願いすることも一切なく、異例
の展開を計画し、準備を進めており、全体の骨組みぐらいまではまずまずの仕
上がりなって来ました。ＰＲ欄に紹介しております。是非、ご一読ください。
さて、二回シリーズ『出前芝居』を終え、今回は、『正しい努力』と言う、
まさに文章テーマそのままのタイトルの文章をお届けします。努力しても、埋
め合わせのつかない格差が開くと言う、格差社会。弱者・敗者といわれる人々
には再起のチャンスがあるのか否か。弱者・敗者と呼ばれる人々は何故そのよ
うになっているのか。そんな疑問に対する或る経営者の明快な答えを紹介して
みたいと思います。お楽しみ戴けましたら幸いです。本文に対するご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は５営
業日!!
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その184：正しい努力
とある零細企業グループで勉強会を始めることとなった。グループを率いる
会長は、私がマーケティング屋だった頃に印刷をお願いしていた会社の幹部だ
った。会長の肝煎りの勉強会はグループ内で話題となって、グループ企業・関
連企業の社長がとっかえひっかえ見学に来る。会長が噂する市川さんと一度お
話してみたかったと言うラベル印刷会社の社長と食事に行くことになった。
「いえね。市川さんとは、一度お話してみたかったんですよ。ウチみたいな零
細印刷会社では、どんなに頑張ったって、仕事は簡単に取れないし、値段は叩
かれて利益は出ないし、人も雇えなければ、金も借りられないでしょ。毎日毎
日家族総出で働いているのに、お客さんは平気で他社に乗り換えちゃうわけで
すよ。世の中おかしいですよ。昔は馬鹿でも一所懸命働いたら、食って行くこ
とぐらいはできたんです。でも、今の世の中は、頭が良いとか、上手く立ち回
る奴が儲かって、そうじゃない奴は生きることさえできません。きちんと正し
い努力をしている人間が生きることさえできないって、やはりおかしいでしょ」。
「正しい努力」と反芻しつつ、私は社長の顔を見つめて、黙って力説に聞きい
っていた。
テレビで失業問題の特番があると、求職活動に努力しても尚、採用されない
人物の話が出てくる。私が見た事例の人物は、毎晩何枚もの履歴書に同じ内容
を機械的に書きなぐり、それを求人情報誌の企業群に郵送していた。下見もし
ない。求人の背景も考えない。自分のキャリアの適合性も検証しない。超低確
率は必至であろう。機械的に履歴書に文字を埋める作業に、何十時間、何百時
間費やそうとも、私はそれが就職活動の努力とは思わない。
或るパチンコ店に行くと、事務所で担当者が折込みチラシのプランを難しい
顔で練っていた。壁一面に監視カメラのモニターが並ぶ。それを見つめて、
「想像でいいんですが、このモニターの中に、ユニクロよりも安そうな服を着
ている人は何人いますか」と尋ねる。怪訝な顔をして、担当者が当てずっぽう
で答える。「じゃあ、同じ列に、新聞を読んでいそうな人は何人いますか」と
尋ねると、「殆どいない」と皆が呟く。「では、聞きますが、折込みチラシは
誰を呼ぶために打つんですか。ちなみに言っておきますが、私も新聞をここ数
年取ったことがありません」と言うと、辺りが静まり返る。
「正しい努力」を頭の片隅に、日々を過ごしていると、件の会長の所に行く日
が巡って来た。会長がニヤニヤしながら言う。「なんか、この前の晩は、努力
が報われないって話とかしたんですって。愚痴ですから、聞き流してやってく
ださいよ。あいつも、格差社会だとか何だとか、そういったもんにかこつけた
いだけなんです。どんだけ努力したって、金をくれるのは相手さんなんですか
ら。相手が嬉しい努力だけが、努力だって決まってるってのに、まだ奴は分か
ってないんですよ。お恥ずかしい」
相手を喜ばせた努力だけに報酬が巡り来るという「格差社会」。なかなか面
白くはある。
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☆☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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【ＭＳＩグループからのＰＲ】
８周年特別記念号 現在準備中。
発行日は例年通り、１０月末日。
しかし、内容は例年と全く異なり…
●文章作成は、弊社代表の市川に寄らず（一部例外あり）、
●読者の方に全く寄稿をお願いせず、
●さらに、今まで何度かに渡り掲載した「発行の舞台裏の紹介」もなく、
と、詰まるところ、第三者プロデュースによる、
今までの凝り固まった著者の一方的なメッセージのスタイルを破壊し、
ソリアズ本来の枠組みからも逸脱した、
かつてない特別記念号を計画・準備中。
テーマはズバリ、『女性視点からの人材育成』
請うご期待。
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合資会社ＭＳＩグループ（代表 市川正人）
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次号予告：
第185号『反復強化』 （10月10日発行）
読み、書き、話しを総動員すると、記憶や理解が深まると言います。或る会
社の風土改善の取り組みに、そのような記憶や理解が強化されて行く様子を見
ました。それをご紹介致します。多分、非常にお楽しみ戴ける号です。ご期待
下さい。
（完）