530 生まれたままのカラダ

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経営コラム SOLID AS FAITH 第530号
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 ご愛読ありがとうございます。第530話をお届けします。

 VUCAなどと呼ばれた経営環境の不確実さは中小零細企業の経営にも影響を
与えていましたが、今年に入ってさらに混沌の度合いが増しているように感
じます。各種物資の価格の高騰や、中国・ロシアとその他の国々との政治摩
擦、そして漸くピークアウトの兆しが見えたかのように感じられる通称武漢
ウイルス。さらに、全世界的な金利引上げ兆候など、数億円単位の売上を上
げる規模の中小零細企業にさえ、かなりダイレクトな影響が出る世の中にな
ったと思います。

 仕入れコストの上昇を価格に転嫁する必要もありますし、人件費高騰から
組織の人員構成や就業規則なども見直す必要が出るかもしれません。人々が
外出もせず、電車にも乗らなくなると、販売の方法や告知の方法まで再検討
が必要になるでしょう。資金の枯渇や後継経営者不在などさまざまな理由で
競合企業が消えて行き、チャンスが頻繁に舞い込んでくるようなこともある
かもしれません。
 
 どのようなビジネスにおいても、お客様は存在し、そのお客様には何かの
ニーズが常に生じては燻り続けます。分かりにくくなった世の中だからこそ、
大手企業が世の中を高みから俯瞰しても分からない経営環境の変化とお客様
の変化を、草の根レベルで機動的に反応できる中小零細企業だからこそ、ガ
ッチリ見極めて邁進したいものだと思います。弊社でも年明け以降、そのよ
うなクライアント企業からのリクエストに応じる日々が続いています。

 今号は『生まれたままのカラダ』です。文中では食べ物の選択をメインテ
ーマとして描いていますが、自分の人生におけるアイデンティティの表現手
段の選び方といった観点でお読みいただけると、より楽しんでいただける文
章ではないかと思っています。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴
したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その530:生まれたままのカラダ

 1990年頃の夏の或る日。気温は35度を優に超え、湿度も90%を超える休日
の午後。私は香港の鑽石山駅に着いた。英語名のダイヤモンドヒルとは裏腹
に駅のすぐ脇からバラックの店舗と住居が広がる。見つめる多数の目を気に
せず、薄暗い定食屋に入って広東語で発音できる数少ないメニューの一つを
頼んだ。鶏肉がふんだんに入ったチャーハンが大皿一つに山盛りで、日本円
で35円。海外で私は地元の人々の生活を見て回る。約4ヶ月間の出張で、私
は広東語の片言会話も習得して、地元の人々の生活を極力体験した。
 
 翌日高層ビルを見晴らすオフィスの窓辺のブースでプログラムを書き終え
て、階下の商業施設のマクドナルドで買ったハンバーガーを食べていると、
隣の部署の香港人のマネージャーが私を指さして大声で叫び出した。
“Junk! Masato, that’s junk! Hey, we’re business consultants.
We are the chosen ones. You do not eat that kind of junk. It’s
not food at all.”

 仕事はただのコーディングで、「選民」コンサルタントっぽくはない。コ
ンサルタントはマック製品を食べてはならないというルールにも聞き覚えが
ない。私が私の報酬で買った食べ物を侮辱するのは私に対する侮辱であり、
それを作った労働者に対する侮辱でもあると試しに応じたら彼は引き下がっ
た。しかし誰かが私の地元生活体験趣味をチクったらしく、夕刻に再び現れ
た彼は激昂して“No more Diamond Hill!”と喚いていた。
 
“What you eat is what you are.”などと言われ、食とその結果の健康に
妙にこだわる人々が増えた。彼らが喧伝する穀物の遺伝子操作だの化学添加
物だの科学的事実関係に一応賛同するが、映画『スーパーサイズ・ミー』の
主人公ほどマックにお世話になっていない。マック製品が大好きな訳でもな
い。ただマックは何より時間が読める。確実に予定が立つのが最大のメリッ
トで、今でも首都圏各地のクライアント訪問途上のマックにお世話になるこ
とがある。ジャンクな食べ物は、コンビニでもスーパーでも所狭しと売って
いる。
 
 子供時代に二つも法定伝染病に罹って長い隔離生活を送り、重傷レベルの
骨折を何度もやり、海外生活でも生命の危機に何度もあった私には、死が非
マック食を強く酌量しているとは思えない。生物のカラダはどう足掻いても、
摩耗し汚染され衰えて、淀み歪んで死に向かう。再生医療も多分時間稼ぎに
しかならない。同じ人の材料なら、食物よりも情報を始めとする人間の叡智
の方が重みがある。時間が惜しい時マックはすこぶる便利だ。

 以前、大変お世話になった社長が逝去した。肺癌があちこちに転移して逝
去した彼はヘビースモーカーだったが、死の直前に挨拶した際の笑顔は満足
気だった。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋のもっと深く愛してい』第27回
「ブロックチェーン(スマート・コントラクト)」

テーマ「ブロックチェーン」の3回目となる今回は、「スマート・コントラ
クト」について紹介いたします。

スマート・コントラクトとは、あらかじめ設定されたルールに従って、ブロ
ックチェーン上の取引、もしくはブロックチェーン外から取り込まれた情報
をきっかけにして実行されるプログラムを指します。契約条件の締結や履行
が自動で実行される仕組みであり、「契約の自動化」とも言います。

1994年にコンピューター科学者のニック・スザボ氏によって提唱された仕組
みで、よく自動販売機に例えられます。購入者が欲しい商品を選択し、代金
を投入するという設定されたルールが満たされると、自動販売機がその商品
を出すというプログラムが自動で実行されるのが、まさにスマート・コント
ラクトの仕組みです。

スマート・コントラクトの活用には、「信頼性」、「透明性」、「コスト削
減」というメリットがあります。たとえば、不動産賃貸の契約の例を考えれ
ば分かる通り、従来、契約や取引は仲介者を介することで実行していました
が、スマート・コントラクトは第三者を仲介する必要がありません。

また、プログラムされたスマート・コントラクトの内容や、それによって実
行された取引の記録はブロックチェーン上で公開されます。そのため、透明
性が高く、不正が行なわれた場合は検知されやすいと考えられます。

「コスト削減」においても大きなメリットがあります。従来、仲介者や信頼
性を担保する第三者に支払っていた手数料は不要となります。同時に、一連
の手続きに要する時間が短縮されるので、費用もかかる手間も削減できます。

スマート・コントラクトを利用できる分野の代表例に「ハンコ」があります。
契約の正当性を担保するために行なうものですが、一度契約を締結しておけ
ば、あとは放置しておいても問題がないため、ハンコの代替手段として有効
だと言われています。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『定年前、しなくていい5つのこと …』 大江英樹 著
■『リエゾン 1』 竹村優作 原作 ヨンチャン 画
■『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』 ひろゆき 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第531話 『やっつけ仕事』 (3月10日発行) 
 世の中で言われる「ワーク・ライフ・バランス」には一抹の如何わしさが
あります。中小零細企業経営者の場合を考えてみました。

(完)