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経営コラム SOLID AS FAITH 第178号
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ご愛読ありがとうございます。第178話をお届けします。
関東でも梅雨明けはまだですが、夏が近づいてきて、それらしい暑さの日が
続くようになりました。暑さが好きな私は、陽炎の立つようなアスファルトの
上を、ｉＰＯＤを聞きながら、スタスタ歩いては、気分を高揚させています。
皆様は如何お過ごしですか。
さて、クライアント企業でお話を伺っていると、好景気になって来ているの
か、客単価上昇の認識が話題によくなっています。当コラムは書きだめしてい
る関係上、今回のテーマは、ずばり「廉売」ですが、少々時節の状況に合って
ない様な気もします。当コラムの中では、かなり笑える展開の号であるかと思
います。恐縮ながら、このままお楽しみ戴ければ幸いです。それでは、本文に
対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事
の目標納期は５営業日!!
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その178：安価の衝撃
映画『失楽園』がケーブルテレビでやっていたので初めて観た。観たいと思
った映画は、大体見ている筈なのだが、公開当初、何かの理由で躊躇したのか、
見逃したままになっていた。DVDにも録画した。最初は人目を忍んでいる男女
二人が、徐々に無軌道に成って行く様が延々描かれる。二人の部屋を借りる。
女の夫の密告で男が会社を辞める。二人が各々の家族と諍う。死を考える。旅
に出る。毒を含んで性交しながら心中する。夜の場面は多く、言葉は気だるく、
諍いは続き、予想を何も裏切らない。期待通り陰鬱である。
自分のサイトに公開しているメールアドレスからメールの受信をすると、山
のようにスパムメールが届く。出会い系の誘いのメールが、手を変え品を変え、
さらに発信者の名前とアドレスまで変えて、どんどん送りつけられてくる。
「お手軽」、「寂しさが解消」、「欲求不満の人妻が一杯」、「後腐れがない」
などなど。「メールは手軽。その手間さえ惜しんではやれる女は見つからない」
と説教をする文面まである。メールDMの勉強になるので受信し続けているが、
「簡単に愛が買えて、面倒は起きない」と言う主張は興味深い。出会い系サイ
トで出会ったなら、『失楽園』の二人は死なずに済んだのだろうか。
その疑問を抱えている時、池田晶子氏の『41歳からの哲学』を偶然読んだ。
携帯電話についての項は取り分け素晴らしい。電車の中の広告に「その一言が、
たった五円で」とあるのを見て、携帯電話の通話料金が安くなるサービスを、
哲学者の著者は知る。「人はあんまり安いと、今度はそれをありがたいと思わ
なくなってくる」と著者は言う。
「安い物は、安いのだから、ありがたい物ではない」。「金のいらないタダの
ものを、ありがたい価値のあるものと、思うことなどあるわけない」。「もと
もと実用の具であったはずの携帯電話も、料金が安くなれば、ありがたい。用
もないのに電話をかけて、いよいよ安い言葉を垂れ流す」と畳み掛ける。
結びに著者は、電車で見たもう一つの広告について触れる。それは結婚相談
所の広告で、「ケータイで結婚相手が探せる」と書かれていた。ケータイの料
金が五円とインプットされている著者は、「たった五円の結婚相手でも、かま
わないのであろう」と締めくくる。最高の展開に、何度も何度も反芻しては、
人目も憚らず、変人扱い覚悟で、思い出し笑いを続けた。電車に乗ると、同様
の広告をつい探してしまう。
そんな笑いを噛み締め堪えながら仕事に向かう。営業担当者の勉強会を立ち
上げる打ち合わせである。部屋で待っていた老練な営業幹部がいきなり憮然と
して言う。
「どうも、社長の考えでは、売れないのは営業のせいということらしく、営業
の勉強会をやれってことだが、私に言わせると答えははっきりしている。他社
がガンガン値下げをしているのだから、安くないと売れないのが当り前なんだ。
安い商品を作れないのじゃ、商談の土俵にも上がれない」と、机を叩いて力説
する。池田晶子氏の言葉が浮かび、悶絶寸前だった。仕事には鍛錬が必要であ
る。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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＜ＭＳＩグループのＰＲ＞
最近見た お勧め映画集！
今号にもある通り、元々好きだから見ているだけですが、
昨今、音楽、ファッション、クルマ、ゴルフ、スポーツ、
その他の趣味・娯楽などに比べ、
映画は、多くの人との共通の話題として、
ある種の「大人の嗜み」であるように
思えてならない場面に多々遭遇します。
※映画の話題で盛り上がっているクライアントさんらを前に
話についていけない有名コンサルタントが、
「皆、そんなに映画見る時間があるのか。暇なんだな」との失言で、
自身の信用に大きな傷をつけた事例も目の当たりにしました。
ということで、今回のＰＲ欄は、
最近弊社代表が見た映画で、良かったものを列記してみます。
※上映が終わったものも多く含んでいます。ご了承下さい。
●『幸福のスイッチ』
これは、もう完全に、零細企業の生き残り方の見本です。
上野樹里の奮戦が可愛いです。
●『ＴＶばかり見てると馬鹿になる』
私の大好きな山本直樹原作の映画です。
引きこもり、ニート問題、インターネットレディの実態などなど、
色々思い至ります。
●『ダーウィンの悪夢』
色々映画評では言われていますが、
さすが館を変えつつ、長く上映され続けているだけあります。
様々な考えが頭を駆け巡り、大変なことになってしまいました。
●『ユメ十夜』・『ユメ十夜（海賊版）』
夢モノの映画は数多く存在しますが、美しかったです。
あとは、エッセンスを残した翻案とはどう言うものか
考えさせられました。
●『３００』
これはもう、ランチェスターの弱者の戦略、そのまんまです。
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次号予告：
第179号 『フダンのコシ』 （7月10日発行）
チャンスは誰にでも巡り来るのか否か。運不運などと共に、経営上の機会が
巡り来るか否かは、頻出の話題ではあります。チャンスの到来の仕方とそれを
ものにする方法について考えてみました。ご期待下さい。（完）