127 原理の泥濘

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経営コラム SOLID AS FAITH 第127号
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ご愛読ありがとうございます。第127話をお届けします。

ゴールデン・ウィークも過ぎ、皆様は如何お過ごしでしょうか。私は、溜ま
っていたクライアントへ提出するレポートを書いたり、大学の講義準備で自分
の大学時代の教科書を紐解いたりなどして、その殆どを費やしました。

さて、今回の号は、125号『選ばれる場所』に続いて、小売業経営者向けの
セミナーに参加した際の感想をまとめた号です。「感動接客」や「ホスピタリ
ティー」などの言葉が接客を論じる所ほぼ必ず登場します。しかし、それらは
定量的に測れるものではなく、喧伝されるほどに分かり易いものではありませ
ん。捉えどころの無いものを研修の形で導入することもまた極めて困難です。
感動接客やホスピタリティーの導入プロセスに関して考えてみました。ご意見
・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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その127:原理の泥濘

テレビで百ます計算によって子供の学力が伸びると紹介されている。百ます
の計算をさせて、終わった子供から挙手させ、タイムを伝え、伸びた分を誉め
て行く。このワイドショーには、コメンテーターがいる。離婚後独身で子育て
する作家が、母として言う。
「こんなことを子供にさせるのは、どうかと思うんです。ただ機械的な計算練
習の結果で子供達が評価されて良いのでしょうか。私は自分の子供に『考える
こと』を教えたいです」。

私は暗算が大の苦手である。留学中も、ドルの金額やガロンのガソリン、華
氏の温度やポンドの重さを知るのにいつも難儀し、小型の電卓を携帯していた。
暗算が苦手だと、算数も数学も成績が伸びない。微分も積分も式を立てた後は、
結局、加減法と九九の組合せでしかない。開平法も割り算も分数も、三角関数
も同じ組合せだ。そして何より基礎力のお蔭で、『考えること』のための頭の
余裕が確保される。そんなに便利な能力が半年や1年の間の1日10分で向上する
なら、頭の容量が大きい内に子供にやらせるのが、まともな親の考えることで
あろうと、私は思う。第一、机に向かう子供達の目は輝いている。

久々に接客関連のセミナーを受けた。ホスピタリティーをもって、お客様に
課題解決方法を提供するのが感動接客だと言う。商店街でよく見かける「おは
ようございます」と店員皆で言い合う「声出し練習」は、その講師によると、
心が篭ってない挨拶を習慣付ける愚行らしい。逆に、彼は或る特定の店のある
特定の顧客が感動したと言う特別な物語をエピソードとして紹介し、「斯くあ
るべし」とのたまう。

このような事例に出てくるのは、病んでいたり、生活に困っていたり、障害
を持った来店客である。そして、決まって、このような感動を与えられる店は、
その特定の店員のみならず、雰囲気自体が、「清々し」かったり、「暖か」か
ったり、「柔らか」かったりすると言う。まねをしようとしても、来店客の絶
対多数は、出家前のお釈迦様の如く生老病死の苦痛を日常で抱えていない。先
生の主観に合わせた雰囲気の良さを図るメーターもない。

思考力や洞察力も、ホスピタリティーも、身に付かないよりは付いた方が良
い。それが開花し、自分に益するようになるには、長く果てない研鑚が必要に
なることだろう。達人の先生がたは、「自分ができたのだから皆さんできる筈」
と簡単に言い放つ。基礎も基本もブッ千切って、誰もが総ての分野で達人を目
指す必然性を、誰が認めたのであろうか。

精神を教えても実践に反映できる人は少なく、反映できてもその道程は長い。
ホスピタリティーを論じられる人。元気に笑って挨拶できる人。どちらが街の
店屋に必要か。ホスピタリティーが溢れて、笑顔も挨拶もバッチリな人を用意
すれば、申し分ない。しかし、それらを育成している最中に、ホスピタリティ
ー論が得意でも、挨拶が欠けている者がたった一人でもいる店を、客は容赦な
く切り捨てる筈ではないか。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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●後継者育成のページをゴールデン・ウィーク中に
新スタイルに変更しました。是非、ご覧下さい。
その一部を紹介します。

“後継経営者の育成には5?10年の時間がかかると言われ、
後継者の決定と育成は「社長の最後の仕事」と言われています。
社長が仮に60歳で引退するのであれば、
50代の前半には後継者育成が始まっていなくてはなりません。
準備は進んでいますでしょうか?

(中略)

仮に会社の中の実務全般ができるようになったとしても、
それは「社長業」の理解をしたことにはなりません。
★「自社の目的は何であるのか」
★「他社と伍していく時の自社の強みは何であるのか」
★「自社はここ数年で何を目指すために、何を為さねばならないのか」
このようなことを後継者の方ときちんと議論したことはあるでしょうか?”

後継者育成を考える上で、「全くその通り」と思って戴ける内容を満載致し
ました。是非ご覧ください。
http://www.msi-group.org/MSI-4successor.html
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当コラムが、今話題のブログになりました。

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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告: 第128号 若いコンテンツ (5月25日発行)
アイドルのプロモーションビデオを見ながら、最近流行のマーケティング分
野「コンテテンツ・マーケティング」と、その中で論じられる “人が感じる
魅力”について色々と考えてみました。ご期待下さい。(完)