433 痛む脛

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経営コラム SOLID AS FAITH 第433号
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 ご愛読ありがとうございます。第433話をお届けします。

 札幌では雪まつりの時期となり、東京では早春の兆しが見え始める2月とな
りました。如何お過ごしでしょうか。早い年には2月から花粉が飛散し始める
ので、苦手な寒い時期が過ぎても、弊社代表の市川には当分憂鬱な日々が続き
ます。

 PR欄で紹介しているのは、今月から弊社の提携事業者になったキラ店格ラボ
が、一気に先月発表した電子書籍三冊です。お客様満足を実現する接客、自店
のお客様を知るための商圏分析、そして零細組織でもできる新卒採用などの各
種の分野のノウハウが、読みやすいラノベ風の物語で紹介されています。弊社
代表が三冊の監修を務めました。アンリミテッドで読めますので、よろしけれ
ば是非ご一読ください。
 
 今回お届けする第433話は、大手企業経営のあまり語られない実態について
書いてみたものです。中小零細企業で新卒採用を長く続けると、大手や中堅ど
ころの組織での働き方や、その組織の実態を知る人間がいなくなってしまう現
象が発生します。そういうプロパーの中小零細企業社員の大手企業経営に対す
る幻想は、時に度し難いものになってしまっていて、中小零細企業で新卒採用
を継続することの一つのデメリットかと、弊社では認識するようになりました。

 そんな時に、大手企業のCSRランキングを無邪気に受け止めている幹部を見
つけたので、その会話をコラム化してみました。弊社代表の市川の話すことは
「極端な事例」であることがよくありますが、それらが現実に起きている事象
のサンプルであることもまた事実です。一緒にご一考賜れましたら幸いです。
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!

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その433:痛む脛

「あはは。『またご利用ください』ね」と、私はポイントカードを財布にしま
いながら小さく呟き、その量販店を出て駅に向かった。

 20年ほど前、その量販店の上階事務所の会議室に軟禁されたことがある。当
時写真用フィルムのマーケティング担当だった私は、デモンストレーション販
売を行なう若い女性を都内の量販店に行かせていた。その量販店に行った女性
は慣れない店舗で、販売中に高齢の来店客からトイレの場所を尋ねられて、間
違って教えてしまったため、クレームにつながったのだと言う。店舗の担当者
は「クレームにつながって店の信用が傷ついた。賠償金100万円を支払わなけ
れば、デモ販の子は帰さない」と連絡してきたのだった。上司が弁護士などに
連絡し対応を図る間、その女性の代わりに私が軟禁されることになった。

 創業者一族には今で言う反社会勢力に絡む人物がいたと噂があったその量販
店に、結局賠償金は払わず済んだ。社内では取引停止も検討したが、完全な品
揃え維持のために納入を強硬に要求するので、量販店としては例外的に代理店
を通した販売が決められた。そんなことも起きるような会社であったことを、
私に晴れ晴れしい笑顔で再来店を促す女性スタッフは全く与り知らないことだ
ろう。

「市川さん。CSRランキングって見ましたか。市川さんが昔、苦戦に苦戦を重
ねてゲリラ・マーケティングが上手くなったと話していた、あの大手フィルム
会社がデジカメの時代に業態転換で上手く適応して、上位に入っていますよ」
と、クライアント企業の部長が、或る日の勉強会の休憩時間に話しかけてきた。
大手ビジネス誌の出版社が毎年発表するCSR企業のランキングについて、私は
あまり関心が湧かない。結局、企業は各種のステイクホルダーにバランスよく
喜ばれる他に道はないものと心得ている。

「ああ、そうなんですね。専務が世田谷区の自宅の前でいきなり刺殺される会
社でも、世の中には貢献しているってことなんだろうなぁ。フィルムの独自流
通ルートをあちこちに作っても、結局、現像商売もなくなって、系列店舗の殆
どを見捨てたって話ですし、全国各地にできたミニラボは、銀の化合物がたく
さん入った廃液を下水にそのまま流しているって話が絶えなかったし…。まあ。
刃傷沙汰以外は噂ですけどね。貢献している社会には、自社の専務やチェーン
店のオーナーは含まれてなかったんでしょうね。社会は広いから」。

 私は笑って部長に応えた。世の中には、経理担当者が相次いで自殺する会社
や、複数の社長が不審死する鉄道会社まである。最近DVDを見て嵌っている『リ
スクの神様』で、会社の不正を目を吊り上げて糾弾する戸田恵梨香の顔が見た
くなった。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

今月から弊社の提携事業者になったキラ店格ラボ。
代表の吉良悠子氏が2018年1月に一気に三冊もの電子書籍を刊行しました。

『お店のファンを増やす カルテ型接客の進め方』
『お店のファンを増やす 商圏分析の進め方』
『中小零細企業でもできる 新卒採用の進め方 準備編』
の三冊です。

どれも、弊社代表の市川が監修を務めています。
タイトルから分かる通り、第三作の『…新卒採用の進め方…』は、
年内に実践編(仮)が発行される予定です。

三冊とも、kindle unlimited で読むことができます。
是非、ご一読ください。

http://tenkaku-labo.com/

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『日本人の9割が間違える英語表現100』 キャサリン・A・クラフト 著
■『政府は必ず嘘をつく』 堤未果 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第434話 『凡事への姿勢』 (2月25日発行) 
 社長も社員も関心を持つ共通の話題「デキる社員」。その実像について考えて
みました。ご期待ください。

(完)